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2023-12-16 特許庁 (JPO) が、Charpentier/Doudnaの主要特許を支持
[出典] "Key Charpentier/Doudna CRISPR patent upheld by Japanese Patent Office" CIRSPR Medicine News 2023-12-14. 2023-12-14. 
 ERC Genomicsが、「JPOが、JP6692856に対する2回目の異議申し立てを却下」と発表

2023-12-15 世界初のCRISPR遺伝子治療剤CASGEVY™を巡るCas9関連特許の使用権について「意外な」展開

 CRISPR TherapeuticsVertex Pharmaceuticalsの提携から生まれたCRISPR/Cas9遺伝子編集療法である CASGEVY™による鎌状赤血球症 (SCD)と輸血依存性β-サラセミアの遺伝子治療 (12歳以上) が、2023年11月に英国で承認され、続いて、米国でSCDの遺伝子治療法として承認された。CASGEVY™の製造元はVertex社でありVertex社の商標である [crisp_bio記事 "世界初のCRSIPR遺伝子治療承認 - CRISPR/Cas9による鎌状赤血球症とβサラセミアの治療"参照]。このCASGEVY™承認をめぐって、Editas Medicineから「意外な」発表があった。

 Editas Medicneはハーバード大学とブロード研究所に由来し、Vertex PharmaceuticalsのパートナーであるCRISPR Therapeuticsは、カリフォルニア大学バークレー校とウィーン大学に由来する。意外な発表とは「Vertex Pharmaceuticalsが、CASGEVY™のために、Editas MedicineにCas9の使用権を支払う (非独占的ライセンスを取得)」という契約が成立したとの発表である。また、この契約によって、Editas Medicineは2026年までの資金を確保できたとしている。いうまでもなく、"ハーバード大学とブロード研究所"と"カリフォルニア大学バークレー校とウィーン大学"の間の特許係争はまだ決着がついていない。

[出典] PRESS RELEASE "Editas Medicine And Vertex Pharmaceuticals Enter Into Non-Exclusive License Agreement For Cas9" 2023-12-13  9:00 AM EST
[注] Editas Medicineは、ヒト医薬品を製造のためのCRISPR特許群の独占的実施権者であり、これにはハーバード大学、ブロード研究所、マサチューセッツ工科大学、ロックフェラー大学が所有および共同所有するCas9特許が含まれている。

2023-07-30 CRISPR特許に関するInterference [*1]において、二人の法廷の友/amici [*2]が16ヶ月前のPTABの審決を覆す準備書面を提出した
[出典] "Amici Support Reversal of PTAB Decision in CRISPR interference" Noonan KE (McDonnell Boehnen Hulbert & Berghoff LLP). Patent Docs 2023-07-26. https://www.jdsupra.com/legalnews/amici-support-reversal-of-ptab-decision-2577418/ [2,848 words]
  • 最新のCRISPR Interference第106,115号において、16ヶ月前に特許審判委員会(PTAB)がシニア当事者であるブロード研究所、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学(以下、「ブロード」と総称する)を支持した審決に対し、ジュニア当事者であるカリフォルニア大学/バークレー校、ウィーン大学、エマニュエル・シャルパンティエ(以下、「CVC」と総称する)が控訴したことに対し、2名の法廷の友/amiciが支持する準備書面を提出した。
  • この準備書面では、審査委員会が判決に至る過程で犯したとされる科学的な誤り(複数の著名な科学者 [*3]による)および法的な誤り(Regeneron Pharmaceuticals, Inc.による)について個別に論じている。
 [*] 注
  1. Interference:米国の特許制度において、先発明主義の時代に、先発明を決定する制度であり、2013年 [*4]以後、先願主義への移行に伴い、廃止された。先発明主義では、先発明者の要件として、最初に発明を着想(conception)し、 誠実な努力の継続(reasonable diligence)により、 発明を実施化(reduction to practice)した者であること、 [今岡憲特許事務所 パテントに関する専門用語 No. 555] が要求された。
  2. 法廷の友:amici (amicusの複数形):Amicusは"friend of the court"のラテン語"Amicus Curiae" (アミカス・キュリエ/アミークス・キュリアエ)の略であり、個別事件の法律問題について、裁判所に情報または意見を提出する第三者を意味する [Wikipedia アミカス・キュリエの項]。
  3. Thomas Cech (1989年ノーベル化学賞); Jack Szostak (2009年ノーベル生理医学賞); Titia de Lange (ロックフェラー大), Michael Levine (プリンストン大); David Jay Segal (カリフォルニア大学デービス校)
  4. ブロード対CVCの特許係争の経緯

    2012-05-25

    CVC特許出願

    2012-06-28

    CVC Science 誌から論文発表

    2012-12-12

    ブロード特許出願

    2013-02-15

    ブロード Science 誌から論文発表

    2014-04-15

    ブロード特許成立 (No. 8697359)

    2015-04-15

    CVC interference申し立て

    2016-01-11

    PTO、interferenceを開始

    2017-02-15

    PTAB、ブロード特許支持の審決

    2017-05-10

    EUが、真核生物ゲノム編集についてCVCに特許付与

    2018-04 ~ 2019-02

    2019-02  連邦巡回控訴裁判所がPTABの審決を支持

    2019-06-25

    PTO、2度目のinterferenceを開始

    2022-02-28

    PTAB、ブロード特許支持の審決

    2022-11-02

    CVC、連邦巡回控訴裁判所に訴え

     [2023-07-08の項の出典の中の表の簡易訳]
2023-07-18 CVC (University of California, University of Vienna, およびCharpentier) とBroad Instituteとの間の特許係争の経緯 (2021年5月 ~ 2022年11月)が簡潔にまとめられた記事へのリンクを追加: "The CRISPR Patent Ruling and Implications for Medicine" Paradise J. JAMA 2023-02-14. https://doi.org/10.1001/jama.2022.24986 [著者所属] Loyola U Chicago School of Law;

2023-01-17 CRISPR特許に関する一連の裁定とそれが医療へ及ぼす影響
[出典] "The CRISPR Patent Ruling and Implications for Medicine" Paradise J. JAMA. 2023-01-13. https://doi.org/10.1001/jama.2022.24986  [著者所属] Loyola University Chicago School of Law
 挿入図にまとめられている特許申請・係争のタイムライン(2012年5月25日 CVCの特許申請〜2022年11月2日 CVCの連邦巡回区控訴裁判所への控訴)に沿って経緯が説明され、続いて、研究と医学の革新に及ぼす影響を論じた。
2022-04-09 3月のUSTPOの裁定に対して,カルフォルニア大学バークレイ校, ウイーン大学およびエマニュエル・シャルパンティエ博士が,米国連邦巡回控訴裁判所 (U.S. Court of Appeals for the Federal Circuit)に控訴した [Armstrong AFirece Biotech 2022-04-05 18:55]ブログ投稿タイトル変更 "米国特許商標庁 (USPTO), 真核細胞ゲノム編集に関わるCRISPR特許はブロード研究所に属すると裁定"から"まだまだ続く特許係争 - "CRISPR-Cas9による真核細胞ゲノム編集"へと変更
2022-03-21 Broad Instituteの「CRISPR-Cas9による真核生物細胞での遺伝子編集」特許が成立するとしたUSPTO-PTABの判定は,各種学術雑誌でもニュースとして取り上げられた.例えば:"Broad defeats Berkeley CRISPR patent" Shaffer C. Nature Biotechnology. 2022-03-14. https://doi.org/10.1038/d41587-022-00004-2
 この記事ではイリノイ大学法学部教授Jacob Sherkowのコメントが次のように引用されている:"この裁定は,2014年にCVC (The University of California, the University of Vienna and Emmanuelle Charpentier)の申し立てで始まったCVCとBroad Instituteの間の「真核生物におけるCRISPR-Cas9遺伝子編集を最初に発明したのは誰か」の問題を解決するものであり,極めて重要だ.しかし,CRISPR-Cas9の特許紛争はさらに進行中であり、CRISPRの特許紛争全般がこれで終わったわけではない.例えば、Broad Instituteは,ToolGen社およびSigma-Aldrich社との間で"open interference"を申し立てている".
 また,問題の要点を次のようにまとめている:"真核細胞におけるCRISPR-Cas9遺伝子編集の発明者を確定するには,日付が重要な鍵を握っている.2013年3月16日以前,USPTOは,後に制定・実施されることになった「先願主義」ではなく,「先発明主義」の下で運営されていた.当時は,発明者は,発明を考案し,それを実用化した最初の者であった.Jennifer DoudnaとEmmanuelle Charpentierは,CRISPR-Cas9遺伝子編集を最初に考案したと認められ,その日付は2012年3月1日に遡った.しかし,Sally Gardner Lane, James T. Moore, Deborah Katzの各特許審査員は,同じアイデアを並行して研究していたBroad InstituteのFeng Zhang研究室が「実用化」に成功したことが,Science 誌が2012年10月5日に受け付けた投稿[*]に記されているというBroad Instituteの主張を受け入れた (were persuaded) [*] 投稿から出版までの履歴: 5 October 2012; accepted 12 December 2021; Published online 3 January 2013. "Multiplex Genome Engineering Using CRISPR/Cas Systems" Cong LE [..] Zhang F. Science. 2013 Feb 15;339(6121):819-23 (online 2013-01-03). https://doi.org/10.1126/science.1231143

2022-03-01 STAT newsに準拠した初稿
[出典] "UC Berkeley loses CRISPR patent case, invalidating licenses it granted gene-editing companies" Molteni M. STAT news. 2022-02-28. https://www.statnews.com/2022/02/28/uc-berkeley-loses-crispr-patent-case-invalidating-licenses-it-granted-gene-editing-companies/; "FOR JOURNALISTS: STATEMENTS AND BACKGROUND ON THE CRISPR PATENT PROCESS" Broad Communications. Updated 2022-02-28. https://www.broadinstitute.org/crispr/journalists-statement-and-background-crispr-patent-process; "Crispr Ruling Invalidates Some Biotech Company Patents" Pebbles A. Bloomberg 2022-03-01.  https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-03-01/crispr-ruling-invalidates-patents-licensed-by-biotech-companies
 真核細胞のゲノム編集に関わるCRSIPR-Cas9特許について,カリフォルニア大学バークレー校 (UC Berkeley, USB),ウィーン大学,およびEmmanuelle Charpentier (以下,CVC)と,ブロード研究所との間で係争が続いてきた.2022年2月28日に米国特許商標庁 (USPTO)の特許審判部 (Patent, Trial and Appeal Board: PTAB)  は,2回目の抵触審査 (interference)において,ブロード研究所の特許が成立するとした.すなわち,真核細胞でのゲノム編集に使用する方法に関するBroad社の特許のクレームは,生化学的な「試験管」実験の結果からは合理的に期待できないものと,判定した.
[以下,ブロード研究所によると]
  • ブロード研究所の交付済み特許は,動物,ヒト,植物の細胞を含む真核細胞におけるゲノム編集とその使用に関するものである.
  • UCBの交付済み特許は真核細胞での使用に特化したものではなく,真核細胞ではなく試験管での研究から得られた2012年の最初の出願に基づいており,ゲノム編集や真核細胞での使用に関する主張を裏付けるものではない.
[以下, Bloombergによると]
  • Intellia Therapeutics Inc. やCRISPR Therapeutics AGなどが,CVCからCRISPR技術のライセンスをベースとしている.
  • ブロード研究所と独占ライセンス契約を結ぶ Editas Medicine Incの株価は,月曜日の取引後半に17%上昇した.
  • CVCは今回の裁定に対して異議申し立てをするとしている.

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