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[出典] [NEWS] "Software-designed miniproteins could create new class of drugs" Service RF. Science. 2022-03-24 13:35. https://doi.org/10.1126/science.abq2103; [論文] "Design of protein binding proteins from target structure alone" Can L, Coventry B [..] Baker D. Nature 2022-03-24 (Accelerated Article Preview). https://doi.org/10.1038/s41586-022-04654-9
 これまでに,感染症やがんに対して,それぞれのタンパク質に強く結合することで奏功する抗体医薬が開発されてきた.しかし,抗体はサイズが大きく,開発に時間とコストがかかり,また,不安定といった課題を伴っていることから,より安価でより安定したミニ抗体の研究開発が続けられているが,特定の標的に結合するミニ抗体の設計は簡単では無い.
 タンパク質設計ソフトウエアスイートRosettaの開発を主導し今回論文の責任著者であるDavid Bakerは次のように述べている:「抗体が標的に結合するのは,ロッククライマーが切り立っていて手がかりや足場がほとんど無い崖を登るようなものです」「抗体はサイズが大きいことで,標的から弱い支え (相互作用)を同時に多数得ることで,標的をしっかりと捕捉できる」.言い換えると,サイズの小さいミニ抗体では弱い支えを多数束ねることができないことから,従来の抗体とは異なる戦略で標的を捕捉する必要がある.その一手段が,タンパク質上でミニ抗体に強固な支えを提供する部位 (ホットスポット)を特定し,ホットスポットを狙ったミニ抗体を設計することである.しかし,ホットスポットの特定も簡単ではなく,事実これまでに,ホットスポットが特定されたヒトタンパク質はごく限られている.
 Bakerらは,Rosettaを利用して,特定のアミノ酸が標的タンパク質の表面のさまざまな場所にどれだけ強く結合するかを計算し,その上で,隣接する手がかり (handfolds)のクラスターを探索し,クラスター内のできるだけ多くの手がかりを利用可能な安定したミニ・タンパク質 (ミニ・バインダー)を作出することで,何万もの仮想ミニ・バインダーを構築し,その結合力を比較する手法を開発した.
 Bakerらはこの戦略に基づいて,SARS-CoV-2やインフルエンザなどのウイルス表面にあるタンパク質やがん関連タンパク質などから形状や表面の性質が大きく異なる12種類のタンパク質を選択し,それらに対する仮想ミニ・バインダーを設計し,酵母をプラットフォームとして作出・評価した.
 得られたミニ・バインダーは生物物理学的な特性評価により,すべて65アミノ酸より小さくかつ極めて安定しており,さらに,実験的な最適化によりナノモルからピコモルの親和力で標的と結合することが示された.また,5種類のミニ・バインダーと標的の複合体の結晶構造を決定したところ,いずれも,コンピュータ設計モデルに極めて近いことが示された.
 今回得られた約50万件のコンピュータ設計と数十万件の点変異体の実験データは,この手法の長所と限界,および,タンパク質間相互作用に関する我々の知見を評価していく情報資源となり,また,この手法は,治療や診断のために,多種多様なタンパク質上の然るべき部位に結合するミニ抗体の設計を可能とするツールである.
 
 [構造情報とRosettaソフトウエアスイート] PDBエントリーは公開待ち (2022-03-28時点)
  • 7RDH H3_mb in complex with H3 HA
  • 7N3T TrkA_mb in complex with TrkA
  • 7N1K unbound FGFR2_mb
  • 7N1J FGFR2_mb in complex with FGFR4
  • 7S5B unbound IL_7Rα_mb
  • 7OPB IL_7Rα_mb in complex with IL_7Rα
  • 7SH3 VirB8_mb in complex with VirB8
  • Rosetta macromolecular modeling suite (https://www.rosettacommons.org)
 [Bakerグループの関連先行研究]
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