[出典] "Cas9-mediated maternal-effect and derived resistance alleles in a gene-drive strain of the African malaria vector mosquito, Anopheles gambiae" Carballar-Lejarazú R, Tushar T, Pham TB, James AA. Genetics 2022-04-07. https://doi.org/10.1093/genetics/iyac055
 Cas9をベースとする現行遺伝子ドライブシステムの課題の1つは,主に染色体切断後のNHEJ過程で生成されるインデルに起因するドライブ耐性アレルの発生である.UC Irvineの研究グループは,アフリカマラリア原虫の集団の制御を目的として,Cas9/gRNAをベースとする自律的遺伝子ドライブ因子をCFPで標識した遺伝子ドライブ系統AgNosCd-1を設計・作出し,ドライブ耐性アレルの発生機序の解明に取り組んだ.
  • このドライブは,第2染色体のカーディナル (cd )遺伝子オルソログ (Agcd )を標的とし,この遺伝子の両アレルを破壊された個体に潜性赤目表現型をもたらす.
  • AgNosCd-1は雄雌で98-100%の駆動効率を達成し,雌からの子孫のごく一部がモザイク状の目 (<9%)または機能喪失表現型 (<2%)を示す.
  • ケージでの実験の結果, AgNosCd-1 はドライブ耐性アレルの蓄積によって阻害されないことが示されたが、野外実験に進むために,AgNosCd-1個体と野生型および変異型 cd 蚊の交配実験を行ったところ,AgNosCd-1個体と変異型 cd     蚊の交配において,ドライブ耐性アレルの生成,遺伝パターン,配列多様性が見られた.
  • Gene driveまた,潜在的なドライブ耐性変異アレルが,主として胚発生中に生成されることを発見した.これは、ホモ接合体およびヘミ接合体の遺伝子ドライブ母体によって,卵母細胞ひいては胚に,Cas9エンドヌクレアーゼとガイドRNAが堆積することによって引き起こされる可能性が最も高いと考えられた [Figure 1引用右図参照].