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1万5千以上のミニタンパク質を設計・合成、安定な非天然タンパク質2,788種を同定

[出典]

 天然のタンパク質は、数千の弱い相互作用が協働することで、エントロピー増大のコストを超えて機能する立体構造へとフォールディングしている。したがって、X線解析やクライオ電顕などで解明された立体構造に、安定で生物活性を有するタンパク質を設計するコードが埋め込まれているはずである。しかし、天然タンパク質の進化は、安定性ではなく機能性を第一の指標としてきたことから、このコードの解読は一筋縄ではいかず、フォールディングし機能する非天然タンパク質を生産するに十分な設計指針は未だ得られていない。

 今回、ワシントン大学David Baker(Introduction to Protein Design/YouTube)とトロント大学Cheryl Arrowsmithの共同研究グループは、前例にない大規模な非天然タンパク質の設計・合成・安定性評価を可能とするデータ駆動型タンパク質工学の手法を開発した:

 比較的短くかつ単純な2次構造で(4種類のトポロジー)[*]構成されるミニタンパク質(miniproteins)を設計し、対応するアミノ酸配列のライブラリーを構築し、酵母表層ディスプレー法でミニタンパク質を発現し、プロテアーゼに暴露して分解されたなかったタンパク質の配列を決定し、配列と安定性の相関に関するデータを蓄積・解析、設計へとフィードバック。
[*]4種類のトポロジー ααα/βαββ/αββα/ββαββ; 天然にはαααだけが40〜43残基のタンパク質に見られる

 この新手法により、15,000種類の非天然ミニタンパク質(minoproteins)、1,000種類の天然タンパク質、10,000種類の点変異タンパク質、30,000のネガティブコントロールを対象とする実験を行った:
  • 2,788種類のジスルフィド結合と金属を含まない安定なミニタンパク質を得ることに成功した。
  • 設計・合成・データ解析のサイクルを繰り返すことで、当初フォールディングしなかった設計から天然には見られないトポロジーで安定なタンパク質を合成することに成功し、安定なタンパク質生成の確率が6%から47%へと上昇した。
  • 大量のデータから、アミノ酸配列がフォールディングと安定性を制御するコードを解読する手がかりを得た:構造内に埋め込まれた非極性表面積が残基あたり32 平方Å以上;αヘリックス末端の荷電残基の役割

展望
  • ミニたんぱく質は、PDB登録の20〜50残基の天然タンパク質よりも安定であり、また、サイズが小さいことから、タンパク質間相互作用の阻害剤のスキャフォールドとして有用であり、かつ、膜透過やエンドソーム・エスケープを利用した送達に有利。    
  • 本手法は、DNA合成技術のさらなる進歩を前提として、より大規模なタンパク質への展開が可能。
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