[出典] REVIEW "Nano-vectors for CRISPR/Cas9-mediated genome editing" Yang P [..] Lee J, Chiou S-H, Tsing H-R. Nano Today 2022-04-12. https://doi.org/10.1016/j.nantod.2022.101482; Graphical  abstract https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S1748013222001098-ga1_lrg.jpg
 CRISPR/Cas9ゲノム編集システムには,遺伝性疾患やがんの治療への応用,疾患モデルの開発,創薬ターゲットの同定などへの展開が期待されいるが,臨床応用にあたっては,依然として,生体内に安全かつ効率的に送達・導入することが重要な課題に留まっている.
 非ウイルス性ナノベクターは,ウイルス性ベクターと比較して,費用対効果、スケールアップの可能性,化学修飾の容易さ,収容可能ペイロードのサイズ,免疫原性の低さ,生体内でのゲノム編集システムの保護性能,などの利点を備えている.
 UCLAに国立陽明交通大学 (台湾)が加わった研究グループによるレビューは,2つの主要な遺伝子編集経路 (NHEJとHDR) を介してがんや遺伝病を治療するために,3種類のナノベクター (脂質ベース, ポリマーベース, および無機ポリマー)を使用してCRISPR/Cas9ゲノム編集のペイロード (Cas9 DNAプラスミド, Cas9 mRNA, およびCas9 RNP)の送達における最近の進歩に焦点が当てられている.また,がんや遺伝病の治療への応用に注目し,CRISPR/Cas9ゲノム編集システムの送達のためのナノベクターの課題に関して洞察し,今後の開発、特に最終的な臨床への展開に有望な戦略が提案されている.