[出典] "Engineered Cas12a-Plus nuclease enables gene editing with enhanced activity and specificity" Huang H [..] Lin Y, Hong Z. BMC Biol. 2022-04-25. https://doi.org/10.1186/s12915-022-01296-1
[著者所属] Southern Medical University
 著者らはまず,AsCas12a-crRNA-標的DNAの三者複合体構造 (PDB ID 5B43)から,AsCas12a-plus-1標的DNA鎖の骨格と水素結合を形成する3つの正電荷アミノ酸残基 (WEDドメイン内のK780; ブリッジヘリックス内のR951とR955)を同定し [Fig. 1  引用右図参照: a の赤い点線で囲まれたアミノ酸],変異導入による結合親和性低下を介したオフターゲット編集活性抑制を狙い,オンターゲット編集活性を維持しつつオフターゲット編集活性が抑制された2種類の変異体, AsCas12a-KKとAsCas12a-KA, を同定した.
 次に,AsCas12aの高活性版であるenAsCas12aに倣って,E174Rの変異を導入したAsCas12a-RKKとAsCas12a-RKAを評価し,AsCas12a-plus-2AsCas12a-RKAとenAsCas12a-HFの活性がそれぞれAsCas12a-WTの~1.64倍と~2.23倍となったが,AsCas12a-RKAの特異度がenAsCas12a-HFにやや優ることが明らかになった [Fig. 2 引用右図参照]
  • AsCas12a-RKA (AsCas12a-Plus)の高活性と高特異度は,多重編集および転写活性化 (CRISPRa)においても維持された.
  • AsCas12a-PlusによるBRAF<V600E>発がん性遺伝子変異の破壊は,オフターゲット活性を抑制しつつ,AsCas12a-WTやenAsCas12a-HFと同等の効率でA375メラノーマ細胞株を細胞死に誘導した.
  • AsCas12a-Plusをもたらした変異に対応する変異をLbCas12aに導入することで,活性を~1.1倍に,特異性指数が78%から89%へと向上し,これをLbCas12a-plusと称した.