crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2026-02-21 これまで見逃していた2023年2月16日に発表された重大な修正を以下に記す。またブログ記事のタイトルを「トランスポゾンにコードされたタンパク質 (TnpB)をベースとして,AAVで送達可能な超コンパクトなABEを開発」から「コンパクトなCas12f1バリアントをベースとして, AAVで送達可能な超コンパクトなABEを開発] へと改訂し、タグから「トランスポゾン」を削除し、サムネイルも変更し、テキストの一部も修正した。
[出典] "Author Correction: Hypercompact adenine base editors based on a Cas12f variant guided by engineered RNA" Nat Chem Biol. 2023-02-16/March
https://www.nature.com/articles/s41589-023-01258-w#citeas
 著者らの論文に対する2件の投稿 [#1, 2] において、当該研究で使用したヌクレアーゼはTnpBではなく、Un1Cas12f1のバリアントであると指摘された。著者らはこれらの主張を完全に受け入れ、論文本文、図表、拡張データ図、補足情報、および出典データにおいて、「TnpB」を「 由来のUn1Cas12f1(CWCas12f1)のバリアント」に変更した。また、論文タイトルでは「transposase B」を「Cas12f variant」に変更した。さらに、本技術の名称を「Tiny nuclease/augment RNA-based Genome Editing Technology-Adenine Base Editor」に変更し、以前の略称(TaRGET-ABE)はそのまま残した。著者らは、この変更 は命名法の問題にとどまり、以下の4項目にまとめたように本研究の質と意義を損なう可能性は低いと考えている:
  1. CWCas12f1の塩基編集効率を直接比較したところ、CWCas12f1は従来のUn1Cas12f1(文献4)と比較して有意に高い塩基編集効率を示しました(図2f、拡張データ図4)。
  2. ヌクレアーゼとデアミナーゼは、TaRGET-ABE-C2.0、3.0、3.1など、異なるABEバージョンを作成するように設計されており、これらを用いることで、配列コンテクストを考慮した特異的かつ柔軟な塩基編集を実現できる。さらに、様々なPAMバリアントにより、この超コンパクトな塩基編集システムの範囲が拡大した。
  3. このヌクレアーゼは確かにUn1Cas12f1のより長いバリアントであるが、AAV送達を用いたin vivoシステムにおいて、超コンパクトアデニン塩基編集システムの実現可能性を実証した初めての報告である。
  4. 最後に、ガイドRNA依存性および非依存性のオフターゲット活性に関して、超コンパクト塩基編集システムの特異性について広範な解析を行い、有益な情報を得た。
[#]

  1. Mis-annotation of TnpB: case of TaRGET-ABE” Karvelis T, Siksnys V. Nat Chem Biol. 2023-02-16 https://doi.org/10.1038/s41589-022-01242-w
  2. To TnpB or not TnpB? Cas12 is the answer” Yoon PH, Adler BA, Doudna JA. Nat Chem Biol. 2023-02-16. https://doi.org/10.1038/s41589-022-01243-9
----------------------------

[注] 2022-10-15 タイトルのトランスポゾン関連トランスポザーゼトランスポゾンにコードされたタンパク質に修正;CAST (CRISPR-associated transposon/CRISPR関連トランスポゾン)という用語も使われている。
2022-10-14 Nature Chemical Biology 誌から査読済み論文として刊行された:
[論文] "Hypercompact adenine base editors based on transposase BCas12f variant guided by engineered RNA" Kim DY, Chung Y, Lee Y [..] Kim YS. Nat Chem Biol 2022-08-01. https://doi.org/10.1038/s41589-022-01077-5 [著者所属] GenkOre, KRIBB;
[News & Views] "Voyage to minimal base editors" Song B, Bae S. Nat Chem Biol 2022-08-01. https://doi.org/10.1038/s41589-022-01101-8
 論文タイトルはResearch Squareから改変されているが、TaRGET (TnpB-augmentRNA-based Genome Editing Technology)の開発と評価には特段の変更は内容に見受けられなかった[グラフィカルアブストラクト参照]。

2022-05-06
Research Square 投稿に準拠した初稿
[出典] "AAV-deliverable hypercompact adenine base editors based on transposase B Cas12f variant guided by engineered RNA" Kim DY [..] Kim YS. Research Square 2022-04-12 [プレプリント].https://doi.org/10.21203/rs.3.rs-1326630/v1 [著者所属] GenkOre, KRIBB
 プログラム可能なRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼでもあるTnpBは,タイプV CRISPR-Cas12ファミリーの祖先タンパク質とされ,その高い配列類似性からUnCas12f1に最も近い祖先であると考えられている.著者らは,2021年に,ガイドRNAを改変することで,ヒト細胞では活性を示さないとされていたCas12f1によるヒト細胞での標的遺伝子への高効率なインデル誘導が可能なことを示していた.
 著者らは今回,Cas12f1の新たなバリアントTnpBをベースに高効率なプログラマブル・エンドヌクレアーゼ活性を有する人工gRNAを開発し,TaRGET (TnpBTiny nuclease/augment RNA-based Genome Editing Technology) と命名し,それを利用したABEを開発した [Figure 1 c引用右図参照].
 このABEにおいて,コドンを最適化したTad-Tad変異体 (V106W, D108Q)と,触媒活性を失活させたCas12f1TnpBであるdTnpBのC末端 (D354A)を融合した二量体 [挿入図のTaRGET-ABE-C1と-C2]が最も高いA-G変換率を示した.
 また,TaRGET-ABEでは限定され標的可能領域を,TnpBのいくつかのPAMバリアントの開発と,TnpB Cas12f1バリアントを改変してPAM-遠位部位とPAM-近位部位にそれぞれデアミナーゼを最適化することで拡張した.
 AAVで送達したTaRGET-ABEは,ヒト細胞において高いA-to-G変換率を示すことも実証した.

[GenkOre & KRIBBが2021年に発表した関連論文]
[トランスポザーゼとCRISPR-Casシステムの協働に関するcrisp_bio記事]
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット