[出典] "Boosting plant genome editing with a versatile CRISPR-Combo system" Pan C [..] Qi Y. Nat Plants. 2022-05-20. https://doi.org/10.1038/s41477-022-01151-9 [著者所属] U Maryland. 
 研究グループは,先行研究で開発した「植物における遺伝子活性化を実現する強力なCRISPRaシステム,CRISPR-Act3.0 [*]」を発展させて,標題を実現した.
  • CRISPR-Combo (Cas9-Act3.0; CBE-Cas9n-Act3.0; ABE-Cas9n-Act3.0)によって,例えば,遺伝子Aのノックアウトや塩基編集 (CBE/ABE)と遺伝子Bの活性化を互いに交差することなく (直交関係)同一対象内で実現できる.
  • はじめに,イネとトマトのプロトプラストにおいて、CRISPR-Comboにおける多重操作の直交関係を実証した.
  • 次に,シロイヌナズナのフロリゲン遺伝子を活性化することで,高速育種が可能になることを示した.
  • また,ポプラにおいて,多重遺伝子編集に続いて多重遺伝子を活性化する手順で,形態形成遺伝子の活性化を介して,ポプラ組織の再生・増殖の促進を実現した.
  • さらに,外来植物ホルモンを用いずに,高効率な遺伝子編集イネの再生を実現した.
 CRISPR-Comboは作物育種への応用が期待できる汎用性の高いゲノム工学ツールである.
 
[*]
crisp_bio [20220223更新] CRISPR-Act3.0: 植物における効率的な多重遺伝子活性化を実現.