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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "A truncated anti-CRISPR protein prevents spacer acquisition but not interference" Philippe C [..] Moineau S. Nat Commun. 2022-05-19. https://doi.org/10.1038/s41467-022-30310-x [著者所属] Université Laval (Québec City), Universidad de la República (Montevideo), Institut de Microbiologie (Marseille)
 原核細胞のCRISPR-Casシステムは,侵入核酸に対する適応免疫反応を誘導する.高温性レンサ球菌のStreptococcus  thermophilus でも,内在CRISPR-Casシステムが,ファージ感染に応じて新たな免疫記憶となるスペーサーの獲得と,干渉 (侵入DNAの切断)を誘導する. 
 一方で,ファージは,CRISPR-CasシステムのガイドRNAが標的とするプロトスペーサーの変異や,Cas9の干渉活性を阻害する抗CRISPRタンパク質 (anti-CRISPRタンパク質, ACR)をコードすることで,S. thermophilus の防御システムに対抗する.
 著者らは今回,S. thermophilus がCRISPR-Casシステムがacr 遺伝子を標的とすることで,ACRを帯びたファージを阻止できることを示した.これにより,ファージ集団からacr 遺伝子内に欠失を帯びた変異体が選択されていくことになる.
 驚くべきことに,野生型病原性レンサ球菌ファージで発見した切断型acrIIA アレルは,CRISPR-Cas9による干渉を阻止できないが,CRISPR-Casシステムによるスペーサー獲得をかなり抑制することを見出した.
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