crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "In vivo  engineered B cells secrete high titers of broadly neutralizing anti-HIV antibodies in mice" Nahmad AD [..] Barzel A. Nat Biotechnol 2022-06-09. https://doi.org/10.1038/s41587-022-01328-9 [著者所属] Tel Aviv U, Tabby Therapeutics Ltd, St Jude Children's Research Hospital, The Scripps Research Institute; NEWS & VIEWS "CRISPR comes a-knock-in to reprogram antibodies in vivo " Hartweger H,  Nussenzweig MC. Nat Biotechnol 2022-06-09. https://doi.org/10.1038/s41587-022-01299-x [著者所属] Rockefeller University
 疾患モデルでは,広域中和抗体 (bNAb)を分泌するように生体外で操作したB細胞の移植が,有効性を示しているが,ヒト疾患治療への応用には,専門の医療機関,技術的に困難なプロトコル,ドナー細胞とレシピエントの主要組織適合性を確保することが,課題として立ち塞がっている.Nahmadらは今回,2種類のアデノ随伴ウイルスベクター (AAV)を用いた生体内B細胞工学 (in vivo B cell engineering)による課題解決の可能性を示した.
 2種類の組み換えAAV (AAV-DJ, J Virol 2008)の1つはSpCas9よりも小型のSaCas9 (Staphylococcus aureus 由来のCas9),もう1つは抗HIV bNAb (3BNC117),をコードするベクターである.両ベクターをマウスに静脈注射したところ,目的としたB細胞の免疫グロブリン遺伝子座 (IgH   )の編集が実現し,免疫記憶の保持と最大6.8μg ml-1の中和価のbNAb分泌が確認された.また,B細胞特異的プロモーターからSaCas9を発現させることで,不要な組織でのオンターゲット部位の切断が減少することも,CHANGE-seq (crisp_bio 2020-06-22 )で確認された.
 NEWS & VIEWSでは,最後の段落で,臨床応用には抗体価をより高め免疫回数を抑制する必要性など,課題をあげつつも,有効なワクチンが存在していない感染症の療法として,生体内B細胞編集を介したbNAb分泌の戦略を評価した.
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