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2024-07-08 Developmental Cell 誌刊行論文から、その書誌情報を以下に追記し、グラフィカルアブストラクトと図1を引用し、詳細を初稿の後に追記した:
[出典] "Seamless knockins in Drosophila via CRISPR-triggered single-strand annealing" Aguilar G, Bauer M [..] Affolter M. Dev Cell. 2024-07-03. https://doi.org/1016/j.devcel.2024.06.004 [著者所属] U Basel, U Autónoma de Madrid

2022-07-08
bioRxiv 投稿に準拠した初稿
[注] SEED ("Scarless Editing by Element Deletion"から命名)
[出典] "In vivo seamless genetic engineering via CRISPR-triggered single-strand annealing" Aguilar G, Bauer M [..] Affolter M. bioRxiv 2022-06-18 [プレプリント] 
 CRISPR/Cas技術の登場以来,特定の外来配列の特定の遺伝子座へのノックインを手軽に行えるようになり,さまざまな遺伝子操作が広がってきた.しかし,多細胞動物in vivo. におけるHDRノックインには,HDRの効率が低いことからノックインが成功した細胞を効率良くスクリーニング法の開発が課題になっている.
 多細胞生物を編集する場合,2段階のノックインが一般的になり広がっている.この手法では,スクリーニング用のマーカーを目的のエレメントと一緒に挿入し,判定後,マーカーをゲノムに傷跡を残すことなく (スカーレス/scarless)に除去する.マーカーの除去には,Cre/LoxPやFlipase/FRTによる組換えやpiggyBac (PBac)技術が利用されているがそれぞれ一長一短あり,また,MMEJ (マイクロホモロジー媒介末端結合)による成果が報告されているが [*],MMEJによるマーカ除去を経て作出された動物の報告はまだない.
[*] CRISPRメモ_2018/03/06 [第1項] MhAX (microhomology assisted excision):マイクロホモロジー媒介末端結合 (MMEJ)を介したヒトiPSCsのスカーレス・ゲノム編集. 
 著者らが今回開発したSEEDは,HDR (Homology-Directed Repair, 相同組み換え修復)を介した選択用カセットの挿入とSeamless knockin GASSA (Single Stranded Annealing, 一本鎖アニーリング)を介したスカーレスなマーカー除去を実現し,これまでの手法に代わる高速,堅牢,かつ安価なタギングを実現した.SEEDはまた,除去効率が高いため,Cas9の発現を介した体細胞遺伝子のタギングが可能であり,CRISPR/Casによる細胞系譜限定的な内在性タギングを実現した最初の例である [Developmental Cell 論文のグラフィカルアブストラクトから引用した右図参照]
 さらに,SEED技術と他の組織特異的CRISPRアプリケーションを組み合わせることで,タンパク質局在化スクリーニングなどの新しい実験への道が開ける.著者らは,ALFA-tag (Nat Commun, 2019)でタグ付けされた遺伝子産物を操作するための新しいナノボディベースのツールボックスも開発し,抗ALFAナノボディを合理的に設計することでタンパク質の可視化と分解または分泌の阻害を可能にした.

Developmental Cell 論文に準拠した詳細

[背景]

 多細胞生物を対象としたCRISPR-Cas9 HDRを介したノックイン実験では、意図したノックインが実現した産物をスクリーンするために、2段階ノックインがますます普及している。この場合、本来のノックイン対象であるDNAエレメントとともに、選択用マーカーが挿入される。次に、然るべき産物を選択後、Cre/loxPまたはFlipase/FRTシステムを介した組換えによってマーカーを除去する。あるいは、CRISPRを介した方法で標識カセットを交換し、HDRを介して標識対立遺伝子を異なる対立遺伝子変異体と置き換える。

 さらに、PiggyBacを利用すると、1回の注入ステップのみで、シームレスなマーカー除去が可能である。ただし、このアプローチは、挿入点周辺に天然のTTAA部位が存在するか、そのような部位をde novoで工学的に作製するかに依存する。PiggyBacはまた、トランスポザーゼの標的発現を必要とし、目的外のゲノム位置に再統合されるリスクを伴う。

 近年、マイクロホモロジー依存性末端接合 (MMEJ) や一本鎖アニーリング (SSA) に基づくアプローチにより、培養細胞や蚊において、遺伝子座からマーカーをシームレスに除去することが可能になった。これらのアプローチでは、CRISPR-Cas9やSceIメガヌクレアーゼを利用してマーカーを標的とし、シームレスな切断を誘導するために、マーカーを挟むように小さな繰り返し(MMEJの場合は最大50bp、SSAの場合は約400bp)が挿入される。このアプローチは、培養細胞で点突然変異を起こしたり、蛍光タグを挿入したりするために採用されており、その効率は最大50%に達している。このアプローチでは、2回の遺伝子導入が必要であることが、実用上の課題になっている。また、脳のような高密度の組織を対象とした場合、組織内の明確なサブセットで内因性タグ付けをする必要がある。

 著者らは、ショウジョウバエにおいて迅速かつロバストにノックインを生成する2段階のアプローチを提案する。SEED (scarless editing by element deletion)/Harvestと名付けられたこの手法は、2つのステップともCRISPR-Casのみに依存している。SEED/HarvestはSSA修復経路を利用し、選択マーカーをシームレスに除去する。SEED/Harvestは、現在のタグ付け方法に代わる、迅速でロバストかつ低コストの方法を提供する。体細胞におけるSSAの高い効率は、Cas9の組織特異的発現を介した条件付き遺伝子標識も可能にする。

[設計]

 SSAは高度に保存された修復経路であり、反復配列がDSBを挟む場合に、他の修復経路よりも優先される。SEED 1CRISPRをトリガーとするDNA修復によって、目的の遺伝子に選択マーカー (SEEDカセット)を組み込む [Developmental Cell 論文Figure 1引用右図 A 参照]。SEEDカセットは選択可能なマーカー(3xP3-dsRED)と、ゲノム上のどこにも切断部位を持たない2つのgRNA (図中のgRNA#1と#2)の標的配列で挟まれている。これらの部位を挟んで、挿入される外来配列は5′部分と3′部分 (右図 AのInsert 5'とInsert 3'0に分割され、100から400bpの繰り返し配列 (右図 AのRepeat) を共有する。

 SEEDカセットは、標的ゲノム挿入に必要な左右の相同性アーム (homology arm)で挟まれる。生体内でドナーの直鎖化を促すために、ゲノム切断 (DNA二本鎖切断/DSB)の生成に使用したgRNAの標的配列も、コンストラクト全体を挟むように付加する (右図 A の#3)。

 SEEDカセットの挿入とスクリーニングの後、スクリーニングマーカーは、その後のCRISPRをトリガーとする修復イベントによってシームレスに除去され、SSAによって解決される (右図 B 参照)。このステップでは、リピートがアニールし、その間の領域が除去され、その結果、3xP3-dsREDマーカーが傷跡 (スカー)を残すことなく除去され、最終的に目的の遺伝子編集が行われる(右図 C 参照) 。

 カセットの除去と選択を容易にするため、ユビキタスに発現するgRNA#1と#2、および生殖細胞駆動型Cas9(nos-Cas9、U6-gRNA#1+2)の両方を持つバランサー染色体を含むハエを作製し、以下「ハーベスター」と名付けた(右図 D 参照)。

 右図Eは、すぐに使えるSEEDプラスミドライブラリーの模式図である。3xP3-dsREDはgRNA1#と2#の標的配列で挟まれている。ノックインする配列は、左右の5′領域と3'領域へ分割され、リピートを含む意図された挿入によって挟まれている。
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