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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Efficient correction of oncogenic KRAS and TP53 mutations through CRISPR base editing" Sayed S [..] Buchholz F. Cancer Res 2022-07-08. https://doi.org/10.1158/0008-5472.CAN-21-2519 [著者所属] TU Dresden
 KRAS は,ヒトの癌において最も高頻度で変異するがん遺伝子であり,KRAS に活性化をもたらす変異は長い間治療標的として注目を集めてきた.
 著者らは,KRAS のドライバー変異のパネルを標的とするCRISPR/Cas9編集によって,様々なヒトのがん細胞株の増殖が抑制され,がん細胞時株が変異型KRAS に依存することを示した.しかし,Cas9を長期間発現させた後に解析した細胞集団において,CRISPR/Cas9編集に耐性のある発がん性KRASエスケープ変異体が存在することが明らかになった.
 一方、アデニン塩基エディター (ABE)によって発がん性KRAS 変異を修正すると,エスケープ変異体が出現することなく標的細胞が徐々に減少し,また,がん関連TP53 変異を効率的に同時に修正することができた.
 患者由来のがんオルガノイドにおいても,発がん性KRAS およびTP53 の塩基編集が可能であったことから,塩基編集により発がん性変異を修正するアプローチは,将来の精密腫瘍学・がんの個別化医療に有用である.
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