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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] REVIEW "The contribution of DNA repair pathways to genome editing and evolution in filamentous pathogens" Huang J, Cook DE. FEMS Microbiol Rev. 2022-07-09. https://doi.org/10.1093/femsre/fuac035 [著者所属] Kansas State U.
 真核生物では,DNA二本鎖切断 (DSB)に対して,ゲノムの完全性と生存性を保証するために,複数の修復経路が機能している.このような修復経路のうち、古典的な非相同末端接合 (NHEJ)と相同組換え修復 (HDR)については広く研究されてきたが,近年,NHEJとHDRのバックアップとして位置付けられていたマイクロホモロジー媒介末端接合 (MMEJ)や一本鎖アニーリング (SSA)などの経路が,DSB修復に基本的な役割を果たすことが示されるに至った.
 本レビューでは,前述の4種類のDSB修復経路の分子機構と階層構造について概説し [Figure 1参照],動物モデルと菌類モデルの間で共通することが知られている部分を比較検討する.スクリーンショット 2022-07-23 15.12.01また,DSB修復経路の選択に寄与する因子について述べ [Figure 2引用右図参照],糸状菌における機構や制御に関する理解と知識のギャップを探ることを目的とした.
 さらに,DSB修復経路が,予期せぬ突然変異の発生など,ゲノム工学の結果にどのような影響を及ぼすかについても議論した.
 最後に,糸状菌におけるゲノム進化の概念を概観し,D SB修復経路とゲノム進化の特性を関連付けるBiased Variationと呼ばれるモデルを提供する.
 こうした普遍的なDSB修復経路に関する広範な知識にもかかわらず,DSB修復機構については,多くの未解決の問題が残っているが,その答えこそが,ゲノム工学とゲノム進化の理解を向上させる可能性がある.
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