(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/01/30

  • Garry P. Nolan (Stanford U.)ら米国グループの論文(Nature Methods. : received 2015 Jun 25; published 2016 Jan 25)
  • PLAYR (Proximity Ligation Assay for RNA )法は、Uppsala大学のグループが開発したPLA法に準拠しているが、mRNAをcDNAに逆転写することなく、一組のDNAオリゴヌクレオチドからなるPLAYRプローブを介してmRNAを検出可能にした手法である.また、数十万の細胞の遺伝子発現測定を1秒で可能とする.
  • PLAYRプローブを4〜5組利用することで分析の最適化を図ることができるが、本手法の成功にはなによりもPLAYRプローブの設計が重要である.そこで、PLAYRプローブの設計支援するプログラムをR言語で開発し、公開した
  • さらに、PLAYR法と標準的な抗体染色法を両立させる工夫を加えて、フローサイトメトリーあるいはマスサイトメトリー(mass cytometry)を利用して、単一細胞内の40種類以上のRNAとタンパク質の同時測定を実現した.
  • ヒトの初代末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cell: PBMCs)を対象にして、細胞表面タンパク質10種類と対応するトランスクリプトを分析し、タンパク質とmRNAの発現パターンが細胞型に特異的であり、また、タンパク質とmRNAの発現量に大きな差異が存在することを見出した.例えば、タンパク質に対応するmRNAが検出されない細胞集団も存在した.
  • PBMCsをリポ多糖(LPS)で刺激した後のサイトカイン誘導を対象とする実験を行い、複数のサイトカインの動態を同時に分析可能なことを示し、細胞型ごとの発現の特異性や、タンパク質とmRNAの発現の差異が存在することが検証可能なことを示した.
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