[出典] "Genomic and Epigenetic Landscapes Drive CRISPR-based Genome Editing in Bifidobacterium " Pan M, Morovic W, Hidalgo-Cantabrana C, Barrangou R. PNAS 2022-07-20. https://doi.org/10.1073/pnas.2205068119 [著者所属] North Carolina State U, U Illinois Urbana–Champaign, International Flavors and Fragrances, Inc
 ビフィズス菌はヒトの消化管に遍在する常在菌で,乳酸菌 (Lactobacillus 属) とともに,プロバイオティック産業を支えるバクテリアであるが,その操作は乳酸菌などに比べて,進んでこなかった. 
 CRISPR Journalの編集長でもあるBarrangouが率いる研究チームは今回,ビフィズス菌の内在するタイプI-G CRISPR-Casシステムによるゲノム編集と,SpCas9(D10A)をベースとする塩基エディターCBEによるSNPs導入を実現し,また,編集結果が,ゲノムおよびエピジェネティックなコンテクストに依存し,ひいては,菌株間で多様になることを発見した.
 CEBを最適化することで,C:G-to-T:Aのアンバー変異を組み込み,複数のB. lactis 株をテトラサイクリンに再感受性化させることに成功した.その結果,B. lactis株はゲノムが均一であるにもかかわらず,株間で不均一に分布するエピジェネティックパターンを発見し,それが編集効率の変動に寄与している可能性があることを明らかにした.さらに,Bifidobacterium longum subsp. infantis についても同様の知見を得た.
 本研究は,CRISPRシステムをベースとするゲノム工学のアプローチを,細菌株ごとに開発する必要性を明らかにし,次世代プロバイオティクス工学への道を開いた