[注] RBD (receptor binding domain/受容体結合ドメイン)
[出典] "Exosomes decorated with a recombinant SARS-CoV-2 receptor-binding domain as an inhalable COVID-19 vaccine" Wang Z, Popowski KD [..] Li Z, Cheng K. Nat Biomed Eng 2022-07-04. https://doi.org/10.1038/s41551-022-00902-5 [著者所属] North Carolina State University (Raleigh & Chapel Hill), Duke University School of Medicine, Southern Medical University (China)
新型コロナウイルスに対して2種類のmRNAワクチンがワープスピード で開発されたが、筋肉内注射を介した全身免疫を誘発する設計であり、また、実社会での接種に当たってコールドチェーンを整備する必要があった。これに対して、著者らは今回、凍結乾燥可能後に室温で3ヶ月保存可能であり、肺に特異的にかつ効果的に標的とし、吸入器による吸入が可能なウイルス様粒子 (virus-like-particle, VLP)を開発した [Fig. 1参照]。
- 著者らは、筋肉内注射経由ではなく肺に直接ワクチンを投与するために、肺スフェロイド細胞 (lung spheroid cell, LSC)から分泌されるエクソソーム (Exo)をキャリアとして利用した。
- LSC-Exoを組換えSARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD)で修飾したVLPを吸入させることで、RBDが、粘液で覆われた呼吸気道と肺実質の双方において、リポソーム (liposome)をベースとするワクチンよりも強固に保持されることをマウスとハムスターで確認した。
- マウスにおいて、このワクチンがRBD特異的IgG抗体、粘膜IgA反応、Th1様サイトカイン発現プロファイルを持つCD4+/CD8+ T細胞が肺に誘発され、チャレンジしたSARS-CoV-2のシュード・ウイルスが除去されることを確認した。
- ハムスターでは、このワクチンを2回接種することで、重症肺炎が軽減され、SARS-CoV-2でチャレンジした後の炎症性浸潤が減少した。
- RBD修飾LSC-Exoワクチン (RBD-Exo)は、肺における粘膜免疫と全身免疫を誘導する。
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