crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] TIRF顕微鏡 (Total Internal Reflection Fluorescence/全反射照明蛍光)顕微鏡
[出典] "Femtomolar detection of SARS-CoV-2 via peptide beacons integrated on a miniaturized TIRF microscope" Tripathy SP [..] Chatterjee P. Sci Adv 2022-08-24. https://doi.org/10.1126/sciadv.abn2378 [著者所属] MIT, Duke University.
 著者らは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質受容体結合ドメイン (以下、S-RBD)に強力に結合し、FRETを介して蛍光シグナルを発する分子性ペプチドビーコン [Fig.1引用左下図参照]を、計算機によるモデリングツール (trRosetta, Rosetta ab initioおよびHDOCK)を利用して作出・検証し、[Fig. 2引用右下図参照]、新型コロナウイルスのフェムトモルレベルでの検出を実現した。
スクリーンショット 2022-08-26 9.33.55  スクリーンショット 2022-08-26 9.42.32
 続いて、TIRF顕微鏡に単一光子感受性のシリコン光電子増倍管(single-photon–sensitive silicon photomultiplier, SiPM)検出器技術を統合して、表面に結合した蛍光色素からの蛍光シグナルを検出可能としたミニTIRF顕微鏡を開発し、分子性ペプチドビーコン技術を組み込んだ。このデバイスは携帯可能で、高度な製造装置や設備を必要とせず、簡便かつ低コストで構築可能である。
 先のペプチドビーコンをミニ TIRF に組み込むことで、S-RBD とウイルス粒子をフェムトモル感度で検出可能とするポイントオブケア診断 (POCT)プラットフォームが実現した。このプラットフォームは、既存のRT-PCRアッセイよりもはるかに効率的であり、抗原ベースの迅速検査よりも感度が高い可能性がある。
 著者らは、分子性ペプチドビーコンの検証に利用したタンパク質構造予測とドッキングの分解能と精度は、まださらなる開発とテストを必要とすることを認識し、AlphaFoldのような新しいタンパク質フォールディング・アルゴリズムを利用して分子性ペプチドビーコンの検証パイプラインを継続的に改善しており、その進捗をWebから公開している.
 こうしたタンパク質のモデリングと新しいフォトニクスに基づくツール開発を組み合わせたプラットフォームは、検体からのRNA/DNAの抽出・増幅過程を必要とせず、COVID-19に限らず将来出現するであろうウイルスの脅威と戦うためのプラットフォームとなる。
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット