[出典] "Efficacy of CRISPR-Based Gene Editing in a Sickle Cell Disease Patient as Measured through the Eye" Pinhas A [..] Chui TYP. Case Rep Hematol 2022-08-22. https://doi.org/10.1155/2022/6079631 [著者所属] New York Eye and Ear Infirmary of Mount Sinai, Icahn School of Medicine at Mount Sinai.
著者らは、SCD患者の疾患活動性 (disease activity)の評価と、赤血球交換輸血療法とCRISPR遺伝子編集療法の効果を比較することを目的として、オキュロミクス (oculomics)の利用を試みた。オキュロミクスは、眼組織の透明性を利用して、網膜微小血管を直接観察し、全身性疾患の病態を把握するという、急速に発展しつつある分野である。
この症例報告では,3次元での網膜血流の観察・解析を実現した光干渉断層計(Optical coherence tomography angiography, OCT-A)を利用して、網膜毛細血管層内の微小閉塞事象を検出・測定した。
- 症例の対象はこれまでに、月に1回の赤血球交換輸血療法をほぼ100回受けてきた23歳のSCD患者である。
- ヘモグロビンF (HbF)産生の抑制因子であるBCL11A遺伝子を標的とするCRISPR遺伝子編集により、赤血球交換輸血療法に匹敵する効果 (微小血管閉塞イベント減少)が得られることが明らかになり、また、その効果が、赤血球交換輸血療法を受けることなく、3回の診察を繰り返す間維持されることを確認できた。
- 一方で、血管閉塞イベントが完全に抑制されるには至らなかったが、その原因が、鎌状赤血球の残存、そしてまたは、内皮における凝固カスケードの機能障害にあるのかは不明であった。
OCT-Aによって非侵襲的に眼から得られるバイオマーカーによって,遺伝子編集後の補助的な経口治療の候補を特定するなどの治療方針を迅速に選択することが可能になり,ひいては、患者の罹患率と死亡率を低下させ,医療費を削減するために有用であると考えられる。
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