[出典] "Accurate de novo design of membrane-traversing macrocycles" Bhardwaj G, O’Connor J [..] Baker D. Cell 2022-08-29. https://doi.org/10.1016/j.cell.2022.07.019 [著者所属] University of Washington,  University of Queensland, Rensselaer Polytechnic Institute, Universidad de Valencia, UCLA, Takeda Pharmaceuticals Inc; 関連ベンチャーの記事 "Vilya Launches to Design a New Transformational Class of Medicines That Precisely Target Disease Biology" business wire 2022-08-29 11:00 AM EDT. https://www.businesswire.com/news/home/20220829005088/en/Vilya-Launches-to-Design-a-New-Transformational-Class-of-Medicines-That-Precisely-Target-Disease-Biology
 David Bakerが率いるスクリーンショット 2022-08-31 15.50.48研究チームは今回、in silico 設計と実験的特性評価を組み合わせて [Figure S1引用右図参照]、膜透過性と経口投与可能性を備えた大環状化合物の設計原理を体系的に探った。
  • 創薬候補の化合物が満たすべきとされているルール・オブ・ファイブで規定される化合物空間を超える184種類の6-12残基の大環状化合物を設計した。
  • 35種類について結晶構造と溶液構造をX線解析とNMR法で決定したところ、29種類が計算モデルに極めて近い構造をとっていた。
  • 6-12残基のサイズ範囲にある84種類の化合物は、1×10<-6>cm/s以上の膜透過性を示した。
  • 8残基1種類, 10残基 1種類, および11残基2種類については、マウスにおいて経口吸収性 (orally baioavailabilty)を確認した。
 大環状化合物の精密設計を実現する中で、すべてのアミド (NH)基がペプチド内部の水素結合相互作用に関与する完全な水素結合状態を設計することで、スクリーンショット 2022-08-31 15.53.39膜透過性を実現可能なことを示した。また、NH基が露出する構造であっても、完全な水素結合状態を設計することで、膜透過性を高めることが可能なことも示した。
 その上で、溶媒の極性が変化すると親油性のコンフォメーションと比較的極性の高いコンフォメーションが切り替わるシクロスポリンのようにカメレオン挙動を示すペプチドを設計することで、膜透過性を維持したまま極性基が露出した細胞内治療標的を結合できる大環状化合物を設計することが可能なことを示した [グラフィカルアブストラクト引用右図参照; Fig. 4参照; ]。