[出典] "Quantitative analysis of CRISPR/Cas9-mediated provirus deletion in blue egg layer chicken PGCs by digital PCR" Altgilbers S, Dierks C, Klein S et al. Sci Rep 2022-09-16. https://doi.org/10.1038/s41598-022-19861-7 [著者所属] Institute of Farm Animal Genetics (Friedrich-Loeffler-Institut)
 ニワトリゲノムの1番染色体にEAV-HPプロウイルスが挿入されると、ニワトリの甲状腺でSLCO1B3の異常発現が起こり、ビリベルジンなどの胆汁酸塩の沈着が増加し、甲状腺に入ってブルーシェル表現型が引き起こされる。このプロウイルス挿入は、チリの品種であるアラウカナ・ニワトリで発生するが、中国のブルーレーや品種であるDongxiangやLushiなどでも確認されている。
 本研究では、4.2kbのプロウイルス領域全体を標的とする一対のガイドRNA(gRNA)を設計しPGCにgRNAをPGCにトランスフェクションした後、ゲノムDNAを単離し、T7EIアッセイにより解析した。
 さらに、デジタルPCRを利用して、ホモ接合体ブルーアレルを持つPGCにおける標的編集効率を定量化し、野生型SpCas9による欠失効率29%と、高忠実度版のSpCas9-HF1による欠失効率69%の欠失効率を確認した。
 その後、編集したPGCからプロウイルスのホモ型欠失が実現している細胞クローンを14個得、デジタルPCRアッセイにより、このプロウイルスが細胞クローンから完全に消失していることを証明した。
 本研究は、CRISPR/Cas9システムを用いて、ニワトリPGCに大きなプロウイルス欠失を導入することができること、また、ニワトリPGCの編集結果の費用対効果の高い迅速なスクリーニング法を、示した。