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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] FECD (Fuchs' endothelial corneal dystrophy)
[出典] "Start codon disruption with CRISPR/Cas9 prevents murine Fuchs' endothelial corneal dystrophy" Uehara H [..] Ambati BK. eLife 2021-06-08. https://doi.org/10.7554/eLife.55637 [著者所属] University of Oregon, University of Virginia, University of Utah, University of Massachusetts Medical School, Johns Hopkins University
 コラーゲンVIII型α2鎖(COL8A2 )遺伝子のミスセンス変異は、角膜内皮細胞の消失による視力障害が進行する早発性FECDを引き起こす。著者らは、FECDのモデルマウスにおいて、SpCas9遺伝子とマウスCol.8a2 の開始コドンを標的とするガイドRNAの双方をコードしたアデノウイルス(Ad-Cas9-Col8a2gRNA)の単回眼内注射により、角膜内皮細胞における変異型COL8A2 発現を効率的にノックダウンし、内皮細胞の損失を防ぎ、角膜内皮のポンプ機能をレスキューすることに成功した。組織学的および網膜電図上で有害な後遺症は見られなかった。
 Col8a2 の開始コドン破壊は、早期発症のFECDにおける視力低下を予防する非外科的な戦略である。Ad-Cas9-gRNAが成人の有糸分裂後の細胞で表現型を復元する能力を示したことから、非再生細胞の障害に罹患した組織でも成人病に広く応用できる可能性がある。
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