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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] ZEBRA (ZwittErionic polymer-inspired material with BRAnched structure)
[出典] "A zwitterionic polymer-inspired material mediated efficient CRISPR-Cas9 gene editing" Zhang L [..] Zheng W, Tang S. Asian J Pharm Sci 2022-09-20. https://doi.org/10.1016/j.ajps.2022.08.001 [著者所属] Guangzhou Medical University, Jinan University, National Center for NanoScience and Technology (Beijing). グラフィカルアブストラクト
 ZEBRAは アガロース(AG)、低分子量ポリエチレンイミン(LMW PEI)、ヒアルロン酸(HA)からなる三元共重合体であり、これら3種類のブロックの協働によって、CRISPR/Cas9をカプセル化して凝縮し、腫瘍細胞をターゲットとし、CRISPR/Cas9を腫瘍細胞内へ特異的かつ高効率で送達可能とした。
  • HAブロックは、膵臓がん、乳がん、肺がんなど様々な固形がんで過剰発現しているCD44を標的とする一次結合分子である。
  • LMW PEIブロックは、静電相互作用を介した細胞膜透過とCRISPR/Cas9の吸着、および高密度なイオン化可能アミンによるプロトンスポンジ効果によるリソソーム脱出能をもたらす。
  • AGブロックのゲル化特性は遺伝子凝縮の促進と、その豊富に含まれている水酸基を介してPEI結合部位を供する。
 ZEBRAの実証実験として、有糸分裂のマスターレギュレーターとして働き、複数の腫瘍細胞で過剰発現しているポロ様キナーゼ 1 (PLK1) を標的とするCas9-sgRNAをコードしたプラスミドの送達を試みた。
  • 比較的サイズの大きいCRISPR/Cas9システムを効率的に細胞内に導入できることが実証された。
  • ZEBRAによる導入は細胞株依存的であり、CD44陽性のがん細胞株ではCD44陰性の細胞株と比較して、Cas9-sgRNAの発現量は約10倍であった。
  • また、Plk1遺伝子を効率的に遺伝子編集し、腫瘍細胞の増殖を有意に抑制することも確認した。
 この双性イオンポリマーに着想を得た材料は、効果的でターゲットを絞った遺伝子送達ベクターである。

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