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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/02

 米国EPA、FDAならびにNIHが進めているTox21 (Toxicology in the 21st Century)プログラムの一環として、Ruili HuangNational Center for Advancing Translational Sciences/NIHの研究グループによる標題プロファイリングの検証結果が発表された.
  • 動物モデルを利用したin vivo 毒性試験は、高コスト、低スループット、ヒトへの展開の妥当性、動物愛護などの課題を抱えており、その代替法が模索されてきた.今回、Tox21は、ヒト細胞を利用した大規模な化合物アッセイ結果を活用することで動物実験の低減を実現可能であるとした.
  • [アッセイ] 主として核内受容体とストレス応答パスウエーに関わる細胞を含む30種類のヒト細胞のパネルを使って、Tox21ライブラリーの10万種類を超える化合物をアッセイ.定量的ハイスループットスクリーニング(qHTS)のフォーマットで15種類の濃度についてアッセイし、5000万のデータポイントを得た.アッセイは3ラウンド繰り返し、十分な再現性を確認することができた.
  • 化合物の構造の類似性と活性の類似性から化合物をクラスタリングすることで、化合物の作用機序の仮説生成に有用な構造活性相関情報を導出した.
  • クラスタリングに基づいて構築した72種類のin vivo 毒性エンドポイントのモデルは、動物実験からのエンドポイントも、ヒトにおけるエンドポイントも比較的精度の高い予測を実現した.その上で、動物実験からの推定よりも、ヒトにおける毒性エンドポイントをより適確に予測した.また、この構造情報と活性データの双方を取り込んだ予測モデルは、化合物の構造と活性データのどちらか一方だけに依存したモデルよりも優れたモデルであった.
  • ヒト細胞を利用したin vitro アッセイは、現時点で、動物実験を完全に代替するには至らない.しかし、より詳細な分析の必要な化合物を選別するには有用である.今後、細胞パネルをさらに拡大して高品質なアッセイデータを集積・解析し、モデルの精度を上げることによって、動物実験の低減に貢献していく.
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