[出典] "RNA polymerase II-driven CRISPR-Cas9 system for efficient non-growth-biased metabolic engineering of Kluyveromyces marxianus " Bever D, Wheeldon I, da Silva N. Metab Eng Commun 2022-09-24. https://doi.org/10.1016/j.mec.2022.e00208 [著者所属] University of California
著者らは今回、K. marxianus のNHEJが機能する野生株とNHEJ機能を欠失している変異株の双方において、わずか40bpの相同性アームを使って高効率でマーカーレス遺伝子破壊および遺伝子統合を可能にするCRISPR-Cas9編集システムを開発した。
この新システムでは、K. marxianus のCRISPR-Cas9編集にこれまで利用されてきたRNAポリメラーゼIIIに変えて、強力なS. cerevisiae TDH3 RNAPポリメラーゼ IIプロモータープロモーターを使用し、コドン最適化Cas9を共発現する単一プラスミドから、自己切断RNA構造であるtRNAとHDVリボザイムに挟まれたgRNAを効率的に発現させることができる [グラフィカルアブストラクト参照]。
- このシステムにより、野生株とNHEJ欠損株の双方でほぼ100%の遺伝子ノックアウト効率が得られ、遺伝子ノックイン効率についても、野生株で50%、NHEJ欠損株で100%を達成した。
- Pol IIを介したgRNA高発現によって、編集が実現した細胞の濃縮に頻繁に必要とされる増殖期間の延長を回避しつつ、成長率は低いがポリケチド生合成が向上した改変株の選択が可能になることを示した。
- K. marxianus において、2種類のsgRNAを帯びたカセットを用意することで、2.6kbと7.6kbのドナーを用いた複数遺伝子座の同時統合を初めて実証し、NHEJ欠損株における二重統合効率25.5%を達成した。
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