[出典] "Lentiviral vector mediated gene therapy for type I Dent disease effectively ameliorates Dent disease-like phenotypes for three months in ClC-5 null mice" Yadav MK, You KW, Atala A, Lu B. Mol Ther Methods Clin Dev 2022-09-21 (Accepted) https://doi.org/10.1016/j.omtm.2022.09.009 [著者所属] Wake Forest University School of Medicine; グラフィカルアブストラクト 
 1型デント病は、X染色体上のクロライド電位依存性チャネル5(CLCN5)遺伝子の変異によるClC-5チャネルの欠損または機能不全に由来し、患者は蛋白尿や高カルシウム尿を呈し、末期腎臓病に至るが、治療法は確立されていない。
 著者らは今回、CRISPR/Cas9遺伝子編集技術により、ClC-5コーディング領域の95%を削除したClcn5モデルマウスを開発した。この変異マウスは明らかなデント病様の表現型を示した。レンチウイルスベクターを用いて、ヒトCLCN5 cDNAを変異マウスの腎臓に逆行性尿管注射 (retrograde ureter injection)で導入したところ、メガリン発現の増加、利尿の改善、尿中カルシウムおよびタンパク質排泄量の減少が認められ、これらは3カ月間持続したが、この治療効果は4カ月に減少した。
 今回得られたデータから、この遺伝子治療効果の喪失は、外来遺伝子由来のCIC-5に対する免疫反応によることが示唆された。本研究は、遺伝子治療がデント病の治療に有望なアプローチであることを示唆した一方で、持続的な治療効果を得るためには、さらなる研究が必要なことも明らかになった。