crisp_bio

論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "ACtivE: Assembly and CRISPR-Targeted in Vivo Editing for Yeast Genome Engineering Using Minimum Reagents and Time" Malcı K [..] Rios-Solis L. ACS Synth Biol 2022-10-17.  https://doi.org/10.1021/acssynbio.2c00175 [著者所属] U Edinburgh, Newcastle U. グラフィカルアブストラクト 
 CRISPR-Casシステムはゲノム編集の強力なツールであるが、一般的に、細胞や組織へgRNA、Casタンパク質、および相同組み換え用ドナーDNAを送達するために、事前にDNAコンストラクトの構築とクローニングのステップが、より一層の利用拡大に対する障害になっている。著者らは今回、プラスミドとドナーDNAの構築のために、直鎖DNA断片のin vivo アセンブリのみに依存する新たな手法を開発し、Assembly and CRISPR-targeted in vivo Editing (ACtivE) として発表した。
  • ACtivEは、プラスミドとドナーDNAをin vivo で組み立てるだけなので、利用者は、これらのパーツをACtivEのリポジトリから選択・組み合わせることで、高価な試薬を使わずに高速にゲノム編集を行うためのツールキットとして機能する。
  • このツールキットはまた、検証済みの直鎖DNA断片に依存することから、保管や共有、室温での輸送が容易なであり、高価な輸送コストや組み立てにかかる時間を大幅に削減することができる。
  • この技術を最適化した後、酵母ゲノムの自律複製配列(autonomously replicating sequences, ARS)に近接する8つの遺伝子座についても、組み込み効率や遺伝子発現効率、これらの領域の破壊が細胞のフィットネスに与える影響を評価した。
  • ACtivEの柔軟性と多重化能を、β-カロテン経路を構築することで実証した。Saccharomyces cerevisiae BY4741 においてわずか数日で、ゼロから単一遺伝子組込みで 80% 以上の組込み効率、遺伝子三重組込みで 50% 以上の効率が達成された。
 本研究は、酵母のゲノム工学を加速するために容易に採用でき標準化も可能な方法を提示し、酵母の合成生物学および代謝工学の目的のために、明確に定義されたゲノム位置の選択肢を提供するものである。
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