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[出典] "Comprehensive analysis and accurate quantification of unintended large gene modifications induced by CRISPR-Cas9 gene editing" Park SH [..] Bao G. Sci Adv 2022-10-21. https://doi.org/10.1126/sciadv.abo7676 [著者所属] Rice U, Emory U School of Medicine
[関連crisp_bio記事] [20201212更新] ヒト胚CRISPR-Cas9遺伝子編集により染色体大混乱. https://crisp-bio.blog.jp/archives/23446874.html
 CRISPR-Cas9を介したゲノム編集の課題として、オフターゲット部位の編集に加えて、オンターゲット部位に誘発される意図しない変異、特に、大規模な改変、が注目を集めている。しかし、これまでのゲノム編集解析のほとんどが、小規模な挿入や欠失の定量化に基づいていた。著者らは今回、クローン・ジェノタイピング、ddPCR、標的配列にバーコード配列ペアからなるUMI (unique molecular identifiers)を付加した上で行うSMRTシーケンシング、ロングアンプリコンシーケンシングなどの異なる方法を用いて、CRISPR-Cas9ゲノム編集が、さまざまな初代細胞や細胞株において、大規模な欠失、挿入、複雑な局所的再編成を誘発することを示した。
 造血幹・前駆細胞(hematopoietic stem and progenitor cells, HSPCs)では、一連の遺伝子 [βグロビン遺伝子/HBB (11.7〜35.4%)、γグロビン遺伝子/ HBG (14.3%)、BCL11A   (13.2%)、T細胞ではPD-1(15.2%)遺伝子] のCRISPR-Cas9遺伝子編集のオンターゲット部位に、最大数千塩基の大きな欠失 (large deletions, LDs)が高い頻度で生じることが明らかになった。
 すなわち、意図しない大きな遺伝子改変が持続することで、生物学的機能が変化し、利用可能な治療用対立遺伝子が減少する可能性があることから、CRISPR-Cas9ゲノム編集による治療法開発における重要な課題が存在することが改めて、明らかにされた。
[詳細]
 鎌状ヒト臍帯由来赤血球前駆細胞(S-HUDEP2 / blood, 2018)およびHSPC由来の個々のクローンにおいて、Cas9による編集結果を定量化するために、クローン・ジェノタイピングを実施した。高精度版SpCas9 (HiFi Cas9) とHBB 遺伝子の第1エクソンの変異を標的とするR-66S gRNAの複合体(以下、R-66S RNP)で編集し、高頻度なLDを、long-range (L-R) PCRゲルシフトアッセイとddPCRベースのallelic drop-off assayを用いて確認した。
 Cas9オンターゲット部位におけるLDのサイズと分布に関する詳細な情報を、PacBio HiFi SMRT-seq、 ONT Nanopore sequencing、Illumina NGSなどのL-R PCRベースのシーケンシングによる取得した。その際に、ゲノムDNA(gDNA)のL-R PCR増幅に伴う誤ったキメラやヘテロ二重鎖の影響を回避するために、最近、Karstら(Nat Methods, 2021)が開発したデュアルUMIユニーク分子識別子(UMI)を組み合わせるL-R PCRを利用した [出典のFig. 2 (A) 参照]。また、遺伝子編集を加えた細胞集団バルクからの実験データからにおけるCRISPR-Cas9による小規模から大規模までの遺伝子編集結果を定量するバイオインフォマティクス・パイプラインを開発した。さらに、デュアルUMIを組み合わせたSMRT-seq (以下、SMRT-seq with UMIのベンチマークとすべく、あらかじめアレル頻度を設定したLDsを帯びた人工DNAライブラリーを構築した。
 SMRT-seq with UMIに基づく定量的解析により、HSPCsのHBB 、HBG BCL11A  遺伝子および初代T細胞のPD-1  遺伝子において、それぞれ高い頻度と幅広いLDがオンターゲット部位に誘発されることを同定した。遺伝子編集されたHSPCのLDは、in vitro の赤血球分化後も持続することも同定し、LDを帯びたHSPCが及ぼす影響を精査する必要性が示唆された。
 SMRT-seqは特殊なサンプル調製を必要とし、多くの場合、中核的な施設でのみ利用可能である。著者らは、short-range (S-R) NGSの経験があるラボで容易に実行可能なアッセイ法として、断片化したL-R PCR産物のイルミナNGSに基づくロングアンプリコンシーケンス(LongAmp-seq)アッセイ法を開発し、小規模INDELとLD双方のプロファイリング、詳細な配列情報、およびLDアレルをかなり正確に定量を提供できることを実証し、LongAmp-seqによるLDの修復機構と反応速度論に関する予備的な研究も行った。
 本研究は、CRISPR-Cas9による遺伝子編集の結果、特に治療を目的とするゲノム編集について、より慎重に評価する必要性を実証した。 
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