2023-09-24 実験プロトコルがSTAR Protocol から刊行されたことから、その書誌情報と概要を追記
2022-11-07 Nature Communication 刊行論文に準拠した初稿
[注] hPSC: ヒト多能性幹細胞
PROTOCOL "Protocol for the design, conduct, and evaluation of prime editing in human pluripotent stem cells" Wu Y, Sidharta M, Zhong A, Persily B, Li M, Zhou T. STAR Protoc. 2023-09-20. https://doi.org/10.1016/j.xpro.2023.102583
PEは、Cas9ヌクレアーゼと異なり、二本鎖DNAの切断 (DSB)やDSB修復用のドナー・テンプレートは不要であり、特定のゲノム部位に、一塩基多型の変化や小さな欠失、挿入の導入を可能とする。ここでは、ヒト多能性幹細胞におけるプライム編集 (PE) の設計・実行・評価におけるpegRNAとニッキング用のsgRNAの設計とクローニング、PEを送達するツールであるエレクトロポレーション、Miseqを用いた効率評価の手順について述べる。例として、GBA (N370S) 変異の誘導と修正のプロセスを詳述する [グラフィカルアブストラクト]
2022-11-07 Nature Communication 刊行論文に準拠した初稿
[注] hPSC: ヒト多能性幹細胞
[出典] "Transient inhibition of p53 enhances prime editing and cytosine base-editing efficiencies in human pluripotent stem cells" Li M [..] Studer L, Zhou T. Nat Commun 2022-10-27. https://doi.org/10.1038/s41467-022-34045-7 [著者所属] Sloan-Kettering Institute for Cancer Research, Memorial Sloan Kettering Cancer Center.
PEと塩基編集は二本鎖切断を回避したゲノム編集ツールであることから、hPSCの正確な遺伝子編集への利用が期待されるが、編集効率が低いことが課題になっている。また、PEやCBEに誘導される標的DNA部位への結合や一本鎖DNAのニッキングがp53依存的応答を誘起するかいなかったも不明である。
米国の研究チームは今回、p53のドミナントネガティブ・フラグメントであるp53DDを共デリバリーすると、PEとCBEによる正確な変異誘導の効率が大幅に向上することを示した。
さらに、PE3とp53DDを組み合わせて、パーキンソン病に関連するGBAやLRRK2変異、Hutchinson-Gilford progeria症候群に関連するLMNA変異を持つ株など、複数のアイソジェニックhPSC株を効率的に作製した。また、患者特異的iPS細胞におけるGBAとLMNAの変異を修正した。
今回、p53DDがゲノム全体の安全性を損なうことなくPE3効率を向上させ、疾患モデル用のアイソジェニックhPSC株を安全かつ日常的に作製することが可能であることが示された。
コメント