[注] ndigtenome-seq: Nickase-based Digenome-seq https://crisp-bio.blog.jp/archives/1509657.html
[出典] "Unbiased investigation of specificities of prime editing systems in human cells" Kim DY, Moon S B, Ko JH, Kim YS, Kim D. Nucleic Acids Res. 2020-10-09. https://doi.org/10.1093/nar/gkaa764 [著者所属] KRIBB, Korea U Science and Technology, GenKOre.
 PEは、真核生物のゲノムの標的部位において、置換、挿入、欠失の生成を含む精密な編集を可能にした。しかし、そのゲノム全体に対する特異性については検討が進んでこなかった [2020年の時点で]。CRISPR-Cas9ニクレアーゼのオフターゲット効果をゲノムワイドで評価するDigenome-seqを開発した韓国の研究グループが今回、CRISPR-Cas9ニッカーゼによって引き起こされる一本鎖DNA切断を全ゲノム配列決定によって同定するin vitro アッセイ、Nickase-based Digenome-seq (nDigenome-seq) を開発した。
 研究チームは、nDigenome-seqを利用して、ヒトゲノム9カ所を標的としたPEの構成因子であるCas9 H840Aニッカーゼのゲノムワイドなオフターゲットサイトの可能性をスクリーニングした。こうしてnDigenome-seqで同定したオフターゲット候補の標的アンプリコンシーケンスを介して、細胞内でPEによる改変を検出可能なオフターゲット部位がわずか5か所、その頻度は0.1~1.9%であることを示し、ひいては、PEが高精度なゲノム編集を実現するツールであることを示した。また、ヒト細胞におけるPEの特異性は、特にeSpCas9やSniper Cas9などのCas9変異体のニッカーゼをベースにすることでさらに向上することも明らかにされた。