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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] REVIEW "Prime editing for precise and highly versatile genome manipulation" Chen PJ, Liu DR. Nat Rev Genet 2022-11-07. https://doi.org/10.1038/s41576-022-00541-1 [著者所属] Merkin Institute of Transformative Technologies in Healthcare (Broad Institute of Harvard and MIT), Harvard U本文 15頁 / 参考文献 148件 (注: ジャーナルの上限 150件; 著者は「レビューを投稿後刊行されるまでの間にPE関連論文が4篇 [*] 発表された」とツイートしている)
 哺乳類細胞におけるゲノム編集を実現するCRISPR-Cas技術の中で、プライムエディター (PE)は、汎用性、特異性、および精密性の全てを満たす特徴を備えている。
 PEは、生きている細胞内で、二本鎖DNAの切断 (DSB) を介さずに、あらゆる塩基置換 (トランスバージョンもトランジッションも)、小さな挿入、小さな欠失を実現する。
スクリーンショット 2021-10-15 11.50.07このPEは、ポリメラーゼと融合させたプログラム可能なニッカーゼと、標的部位を特定し目的のゲノム編集をテンプレート化する拡張ガイドRNA (pegRNA) が最低限必要である [右図挿入図参照]。本総説では、プログラムされたゲノム改変を可能とするPE戦略を要約し、その限界と、ボトルネックのいくつかを回避する最近の開発に焦点を当て、応用と将来の方向性について考察する。
[構成]
はじめに
  図1:哺乳類細胞における精密ゲノム編集 
  図2: オリジナルのPEシステム 
PEの開発と機能
 PEの起源
  表1:PEとpegRNAの構造 
 PEの性能と利点
PEの限界と改善点
 PEエフェクタータンパク質の性能向上
  図3:プライム編集システムの進歩 
 pegRNAの改良
 PEの副産物とDNA修復の改善
 クロマチン・アクセシビリティ
 PEのバリアント
 pegRNAの設計と効率の予測
新たなPEバリアント
 ペアpegRNAを用いたプライム編集
  図4:プライムエディティングバリアント 
 大規模な配列の削除と挿入
 インテグラーゼとの組み合わせによる大規模 (遺伝子サイズ)操作
 DSBを誘導するヌクレアーゼとの組み合わせ
PEコンポーネントのデリバリー
 DNAトランスフェクション、ウイルスを介した導入
 mRNAとしての導入
 RNPとしての導入
プライム・エディティングの応用
 疾病の研究・治療
 動物モデルの作製
 遺伝子変異の機能スクリーン
 内在性遺伝子の標識
 分子レコーディングと細胞系譜の追跡
 農業におけるプライムエディティング
結論と将来の展望
 
 [*] 
  1. [20221108更新] Coselection法をベースとする3回連続セレクションを介してPEによる編集効率を向上. https://crisp-bio.blog.jp/archives/27883187.html;"Marker-free coselection for successive rounds of prime editing in human cells" Levesque S [..] Doyon Y. Nat Commun 2022-10-07. https://doi.org/10.1038/s41467-022-33669-z
  2. 2022-11-08 PEにおけるRTTの最適化を経て、DMA遺伝子ののc.8713C>T変異の修正を実現. https://crisp-bio.blog.jp/archives/30732173.html;"Prime editing optimized RTT permits the correction of the c.8713C>T mutation in DMD gene" Mbakam CH [..] Tremblay JP. Mol Ther Nucleic Acids 2022-10-02. https://doi.org/10.1016/j.omtn.2022.09.022
  3. 2022-11-07 p53の一過性阻害により、hPSCにおけるプライム編集 (PE)とシトシン塩基編集 (CBE)の効率が向上する. https://crisp-bio.blog.jp/archives/30682263.html; "Transient inhibition of p53 enhances prime editing and cytosine base-editing efficiencies in human pluripotent stem cells" Li M [..] Studer L, Zhou T. Nat Commun 2022-10-27. https://doi.org/10.1038/s41467-022-34045-7
  4. 2022-10-07 プライムエディター (PE2)はnSpCas9とMMLV-RTにスプリットしても機能することを明らかにし、その特徴を活かしたSplit-PE2を開発. https://crisp-bio.blog.jp/archives/30414968.html;"Engineered CRISPR prime editors with compact, untethered reverse transcriptases" Grünewald J, Miller BR, Szalay RN  [..] Joung JK. Nat Biotechnol 2022-09-26. https://doi.org/10.1038/s41587-022-01473-1
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