[注] NTT (ニコチンアミドヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ);NSCLC (非小細胞肺がん)
[出典] "CRISPR-based DNA methylation editing of NNT rescues the cisplatin resistance of lung cancer cells by reducing autophagy" Xu C [..] Li D. Arch Toxic 2022-11-06. https://doi.org/10.1007/s00204-022-03404-0  [著者所属] Sun Yat-sen U, Guangzhou Medical U.
 中国の研究チームは、まず、シスプラチン耐性A549(A549/DDP)細胞において、NNT がDNAハイパーメチル化によりサイレンシングされており、これが、NSCLC患者の予後不良と正の相関にあることを見出した。
 また、A549/DDP細胞でNNT を過剰発現させると、シスプラチン耐性が低下して腫瘍悪性度も抑制されることが確認された。しかし、この反応は、NADPHとROSレベルの仲介機能とはほとんど関係がなく、NNT がA549/DDP細胞の保護的オートファジーを阻害することが主な原因であること、およびその分子機構も明らかになった。
 その上で、標題のd Cas9-Tet1によりNNT のDNAメチル化レベルを著しく低下させ、A549/DDP細胞のオートファジーおよびシスプラチン耐性が阻害することに成功した。
 本研究では、NSCLCのシスプラチン耐性を担う標的遺伝子NNTを発見し、CRISPR技術 によるNNT のDNA メチル化編集が、肺NSCLCのシスプラチン耐性における治療法としての可能性が示唆された。