[注] HF-CBE  (High-Fidelity CBE); STOP (コーディング遺伝子への未成熟終止コドン誘導を意味する)
[出典] "High-Fidelity Cytosine Base Editing in a GC-Rich Corynebacterium glutamicum with Reduced DNA Off-Target Editing Effects" Heo YB, Hwang GH, Kang SW, Bae S, Woo HM. Microbiol Spectr 2022-11-14. https://doi.org/10.1128/spectrum.03760-22 [著者所属] Sungkyunkwan U, Hanyang U, Seoul National U College of Medicine
 ラットAPOBEC1をベースとするCBEは、標的遺伝子においてC:GからT:Aの一塩基変換を実現したが、CBEを構成するシチジンデアミナーゼが、sgRNAの配列の如何に関わらず、DNAと転写物であるRNAの双方にオフターゲット編集を誘発することが明らかにされ、高忠実度版CBE (HF-CBE) [*]が開発された。しかし、ゲノムワイドでのオフターゲット編集の詳細は詳らかにされておらず、微生物細胞工場開発へのCRISPRシステムによるゲノム編集の応用が広がってこなかった。CORYNE
 韓国の研究チームは、微生物細胞工場として知られるC. glutamicum の単一および多重遺伝子編集のために、DNAオフターゲット編集を全ゲノム配列解析により同定した [Fig. 1引用右図参照]。
  • rAPOBEC1由来のCBEを介して、標的遺伝子に未成熟終止コドンを誘導することで、標的遺伝子を不活性化するCBE-STOP法を開発した [Fig. 1引用右図参照]。
  • コハク酸生産を高めるために3遺伝子(ldh, idsA, pyc)の単一遺伝子不活性化株、および5遺伝子(ldh, actA, ackA, pqo, pta)を不活性化した株を複数作成した。
  • これらの変異株を対象とする全ゲノム配列解析により、数十の一塩基変異(SNV)がゲノム中に誘導されていることを見いだした。さらに、オフターゲット変異の多くはCBEの非特異的DNAデアミナーゼ活性に由来することを見出した。
    その上で、単一/多重ゲノム編集において
    HF-CBE(YE1-BE3およびR132E-BE3)を利用することで、オフターゲット編集が著しく低減されることも明らかにした。
 DNAオフターゲット解析とHF-CBE-STOPは、高い編集効率を持つマーカーレス遺伝子ツールを提供し、望ましくない変異を低減することにより、従来の遺伝子操作ツールよりも信頼性の高いCRISPR支援ゲノムエンジニアリングを促進することが可能である。

 [*] HF-CBE関連crisp_bio記事