[出典] "Host nucleases generate prespacers for primed adaptation in the E. coli type I-E CRISPR-Cas system" Shiriaeva AA [..] Severinov K. Sci Adv 2022-11-25. https://doi.org/10.1126/sciadv.abn8650 [著者所属] Skolkovo Institute of Science and Technology, Saint Petersburg State U, Peter the Great St. Petersburg Polytechnic U, Waksman Institute (State U New Jersey), Institute of Gene Biology (Moscow), Institute of Molecular Genetics (Moscow), Fred Hutchinson Cancer Center
 CRISPR-Casシステムは、原核生物に外来核酸に対する適応免疫を与えるシステムである。大腸菌では、外来核酸から33bpのスペーサーが獲得されてCRISPRアレイに組み込まれ免疫記憶として保存される [注:この過程はアダプテーションと呼ばれるが、以下では「適応」と表記する]
 適応にはナイーブ型とプライム型の2種類のモードが存在する。大腸菌では、ナイーブ型適応で獲得されるスペーサーの約半分が、コンセンサス5′-AAG-3′/3′-TTC-5′PAMに隣接するDNA配列に由来し、CRISPR干渉に貢献する。
 プライム型適応では新しいスペーサーが、Cas3がCascade:crRNAの標的であるプロトスペーサー領域に加えてその周囲の領域も切断することから獲得される。新しいスペーサーの供給源となる33塩基対(bp)のDNAセグメントもプロトスペーサーと呼ばれるが、混乱を避けるために、Primed Adaptationプライム型適応が開始されるCascadeが結合するプロトスペーサーをPPS(priming protospacer)と呼ぶ [Fig. 1. Prespacer generation and integration into the CRISPR array during primed adaptation.引用右図中段の図参照]。プライム型適応では、このPPSに対して一定の向きで、5′-AAG-3′/3′-TTC-5′ PAMに隣接するプロトスペーサーの中から選択される新たなスペーサーが、外来DNAから獲得するスペーサーの95%以上を占める。
 プライム型適応においてスペーサーとして成熟する前のプロトスペーサー(図の中ではPrespacer precursor / プレスペーサー前駆体)は、4nt程度の3′オーバーハングを持つ約33bpの二本鎖DNA断片である。本研究では、プレスペーサー前駆体の末端が処理されて、スペーサーとしてCRISPRアレイに取り込まれるまでの過程に関与する酵素を、FragSeqと生化学的アプローチを用いて明らかにした [著者らが提案したプライム型適応モデルについてはFig. 5. A model of primed adaptation in the type I-E CRISPR-Cas system.参照 ]。すなわち、RecJがプレスペーサー前駆体の5′末端をトリミングする主要なエキソヌクレアーゼであるが、その活性はExoVIIで一部代替できること、RecBCD複合体は一本鎖特異的RecJにプレスペーサーを挟む二本鎖領域の処理を可能にすること、などが明らかにされた。
 
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