[出典] REVIEW "The abortive infection functions of CRISPR-Cas and Argonaute" Chen Y, Zeng Z, She Q, Han W. Trends Microbiol. 2022-11-30. https://doi.org/10.1016/j.tim.2022.11.005 [著者所属]  Huazhong Agricultural U, Shandon U.
 CRISPR-Casと原核生物のArgonaute(prokaryotic Argonaute:pAgo)は、核酸(nucleic acid:NA)誘導型の防御システムで、原核生物をウイルス、プラスミド、トランスポゾンといった可動遺伝要素(mobile genetic elements:MGEs)の侵入から保護するシステムである。これまでの研究から、NA断片をガイドとして侵入してきた相補的な標的NAを認識し、標的配列を切断して侵入者をサイレンシングすることが明らかにされてきた。一方で、CRISPR-CasやpAgoの多くが、不稔感染(abortive infection:Abi)戦略を利用して免疫を獲得していることが明らかになりつつある。
 CRISPR-CasやpAgoのAbiシステムは、通常、NA認識能力を用いて侵入者を感知し、様々な毒性エフェクターを活性化することで侵入者に感染した細胞を殺し、侵入者の集団への拡散を防止する。
 本総説では、これらCRISPR-CasおよびpAgoシステムのAbi応答の機構をまとめ、微生物と侵略者の間の軍拡競争におけるAbiの重要な役割を明らかにする。