[注] 濡れ性(gettability)
[出典] "Multiscale landscaping of droplet wettability on fibrous layers of facial masks" Park SJ [..] Cho H, Moon MW. PNAS 2022-12-05. https://doi.org/10.1073/pnas.2209586119 [著者所属] Korea Institute of Science and Technology, Korea U, Sungkyukwan U. 
 マイクロ液滴は、比較的サイズの大きな液滴と異なり、接触する繊維と敏感に相互作用し、マスクから蒸発し易いために、これまでの試験法で取得されたマウスの性能データは歪んでいた。韓国の研究チームは今回、N95 マスクとその構造誘導体に対する液滴の濡れ性と移動性を測定し [Fig. 1参照]、新型コロナウイルスなどを帯びた感染性液滴の付着と蒸発によるマスク表面の汚染を回避する可能性について議論した。
 これまでの研究では除外されていたテスト領域を、繊維の1本鎖を用いた濡れ性評価により探索し、テスト領域をD ~ 0.1 (D=液滴の直径 / 繊維のサイズ)まで拡張した(液滴のサイズとしてはマイクロメーターからミリメーターまで)。また、疎水性を向上させることで、汚染回避の道筋を示した。
  • 実験から、マイクロ液滴は、繊維質媒体への接触角が急激に減少することが明らかになった。これはサイズが小さい液滴ではエアクッションの層が存在しないためである。
  • また,液滴衝突試験から、マイクロ液滴が繊維層に付着しやすく,その結果,マイクロファイバー上に汚染領域が広く発生することが明らかになった.
  • 研究チームは、ポリプロピレン (PP) マイクロファイバー中の結晶相と非晶相の共存を利用し、プラズマエッチングを行い、各ファイバーの周囲にナノウォール構造を埋め込むことで、エアクッション効果を高めることで濡れ転移を抑制し、さらに,衝突する液滴の付着力が著しく低下し、結果的に、感染性液滴によるマスク表面の汚染が低減することを示した。
 本手法は、現在のプラズマ処理プロセスで実現可能であり、今後、感染性液滴のマスククリアを効果的に行うための開発に有用である。

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