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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2025-08-01 Nature Biotechnology 冊子体刊行論文の書誌情報を追記:Nat Biotechnol 43, 1168–1176 (2025 July)
2024-08-13 Nature Biotechnology 誌刊行論文の書誌情報を追記
"Removal of TREX1 activity enhances CRISPR–Cas9-mediated homologous recombination
Toufektchan E, Chen Y, Albertelli A, Cullot G, Maciejowski J, Corn JE. Nat Biotechnol. 2024-08-12. https://doi.org/10.1038/s41587-024-02356-3
2022-12-15 bioRxiv 投稿に準拠した初稿
[出典] "
TREX1 restricts CRISPR-Cas9 genome editing in human cells" Karasu ME, Toufektchan E, Maciejowski J, Corn JE. bioRxiv 2022-12-13 [プレプリント] https://doi.org/10.1101/2022.12.12.520063  [著者所属] ETH Zurich, Memorial Sloan Kettering Cancer Center

 CRISPR-Casによる相同組換え修復 (HDR) 過程を介したノックインは正確であるが効率が低いことが未だ課題である。HDRを介した編集効率は細胞のコンテクストに依存する。例えば、HDRは、細胞周期のS/G2で最も活性化することがよく知られている。また、DNA修復活性を欠損した細胞をはじめとして、効率が低い細胞が多数知られている。例えば、CRISPR-Cas9を介し、同一の試薬を用いて同じ遺伝子座を編集した場合でも、細胞種によって、30%のアレル除去から完全に不活性な状態まで、その結果は細胞腫に依存して大きく変動することが報告されている [*1]。これまでに、プライム編集(PE)の効率が標的細胞のミスマッチ修復状態によって決定されることが示されたが [*2]、スイスと米国の研究チームが今回、ファンコニー貧血(FA)患者リンパ芽球細胞株を用いたゲノムワイドなスクリーニングにより、CRISPR-Cas9を介したHDRの抑制因子を明らかにした。

 DNA修復遺伝子が変異している患者の細胞は、CRISPR-Casをゲノム編集を阻害し、標的とする病原性変異を複雑にする可能性を帯びている。FAは、骨髄不全と晩年における悪性腫瘍の素因を特徴とするまれな遺伝性疾患であるが、CRISPR-Cas9 HDRによるFA患者の変異を修正する試みは、効率が悪いことが知られており、治癒の可能性のあるゲノム編集は、HDRを回避するアプローチに限定されていた [*3]。したがって、FA細胞はHDRを抑制する因子を同定するのに格好なモデルとされた。
  • 自然免疫に関与する小胞体関連ヌクレアーゼとして広く発現しているTREX1が、HDRのテンプレートとして利用される一本鎖DNA(ssDNA)または直鎖化された2本鎖DNA(dsDNA)の場合に、HDRの効率を低下させることを発見した。
  • FAに限らず、TREX1を高レベルで発現している細胞株(U2OS、Jurkat、MDA-MB-231、初代T細胞、造血幹細胞、前駆細胞など)はHDR効率が悪いことが予測されるところ、TREX1のノックアウトによってHDR効率が向上し、また、ssDNAテンプレートを化学修飾を介してTREX1から保護することで、HDR効率が(2倍から8倍の範囲で)向上した。
 [*]
  1. CRISPRメモ_2018/07/30 [第1項] ヒト細胞のCRISPR-Cas9ゲノム編集に、Fanconi anemiaパスウエイが関与する. https://crisp-bio.blog.jp/archives/10895195.html;"CRISPR–Cas9 genome editing in human cells occurs via the Fanconi anemia pathway" Richardson CD, Kazane KR, Feng SJ, Zelin E, Bray NL, Schäfer AJ, Floor SN, Corn JE. Nat Genet 2018 Jul 27. https://doi.org/10.1038/s41588-018-0174-0
  2. [20220321更新] PE4/PE5: プライム・エディティングの効率と忠実度が,ミスマッチ修復過程の阻害によって,目覚ましく向上する. https://crisp-bio.blog.jp/archives/27581421.html;“Prime editing efficiency and fidelity are enhanced in the absence of mismatch repair“ Nat Commun. 2022-02-09. https://doi.org/10.1038/s41467-022-28442-1;"Enhanced prime editing systems by manipulating cellular determinants of editing outcomes" Chen PJ, Haussmann JA [..] Adamson B, Liu DR. Cell. 2021-10-14. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.09.018
  3. CRISPRメモ_2019/02/01_2 [第1項] CRISPR/Cas9によるファンコーニ貧血遺伝子治療の可能性. https://crisp-bio.blog.jp/archives/15401571.html;"Effective CRISPR/Cas9-mediated correction of a Fanconi anemia defect by error-prone end joining or templated repair" van de Vrugt HJ [..]Te Riele H. Sci Rep. 2019-01-25. https://doi.org/10.1038/s41598-018-36506-w
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