[出典] "The compact CasPi (Cas12l) bracelet "provides" a unique structural platform for DNA manipulation" Sun A, Li C, Chen Z [..] Wang J, Liu JG. bioRxiv 2022-12-16 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2022.12.16.519550 [著者所属] Tsinghua U, Peking U, Key Laboratory of Water and Sediment Sciences
[構造情報] PDB 7YOJ/EMD-33983  (論文発表まで未公開)
 北京の研究チームが、独自に開発した隠れマルコフモデルに基づくデータ解析パイプラインを介して環境メタゲノムから4種類のオーソログタンパク質で構成される小型のタイプV CRISPR-Casファミリーを発見し、CRISPR-Casπ (CRISPR-Cas12l *) としてbioRxivに投稿した。
[*] タイプV CRISPR-CasシステムのエフェクーとしてCas12kまでが定義されていた [crisp_bio 2019-12-22; Nat Rev Microbiol 2020 https://doi.org/10.1038/s41579-019-0299-xFig. 1参照]
 Casπ (Cas12l) エフェクターは、これまで報告されていたコンパクトなサイズ(750-1000 aaタンパク質, 45-190 nt gRNA)でTリッチなPAMを好むタイプVエフェクターに対して、さまざまな生化学的環境下で5'CリッチなPAMを認識することでDNAを切断し、トランス活性を発揮した。
 Casπ(Cas12l)エフェクターは、原核生物および真核生物において、最適化を行わないままでも、ゲノム編集に有効であり、SpyCas9およびLbCas12aエフェクターによるゲノム編集効果の50%程度に達することが確認された。
 クライオ電顕法による再構成 (3.4Å 分解能)から、Casπエフェクターが、Cas12やCas9の標準的な「2ローブ」構造とかけ離れたDNA標的を取り囲む「ブレスレット」状の独特な構造をとることが明らかになった。また、tracrRNAとcrRNAからなる大きなsgRNAが、「2本の腕」の足場に折り畳まれてCasπ(Cas12l)ヌクレアーゼをリクルートすることで、安定なDNA干渉エフェクターが形成されていた。