[出典] Perspective "Recent advances in crop transformation technologies" Chen Z, Debernardi JM, Dubcovsky J, Gallavotti A. Nat Plants 2022-12-15. https://doi.org/10.1038/s41477-022-01295-8 [著者所属] Waksman Institute of Microbiology, Rutgers U, UC Davis, HHMI.
 農業はその歴史において技術的な転換期(inflection point)を迎えており、同時に、世界人口の増加や地球規模の気候変動がもたらす未曾有の事態にも直面している。精密ゲノム編集の革新と生物工学的に作物を迅速に生成する新たな手法の進歩は、育種プログラムのスピードと幅に革命をもたらし、我々が、増加する世界人口の食の需要を満たし、維持していく可能性を高めることが期待されている。
 有用形質を帯びた品種の効率的な作出は、形質転換(宿主細胞への導入遺伝子の導入と発現)と再生(形質転換細胞から稔性植物を形成する能力)の2つのステップに依存しているが、多くの種において、これら2つのステップが優良品種作出のボトルネックとなっている。伝統的に、組織摘出物からのカルス誘導は、直接形質転換のための未分化細胞の提供、あるいは少数の形質転換細胞から完全な植物を再生させる方法として、形質転換植物を生産する主な手段であった。しかしそれは、淘汰の過程でゲノムやエピジェネティックな変化が進行し、しばしば予期せぬ結果をもたらす長期間を要する手段でもあった。
 形質転換と再生の双方の最近の技術の進歩によって、作物ゲノム改変の可能性が急速に拡大することが期待される。この中には、体細胞胚形成や分裂組織形成に関与する遺伝子である形態形成因子を用いて、体細胞の一部を初期化・多能性化し、最終的に形質転換植物を作出する方法が含まれる。

 [構成]
 植物形質転換の方法
 植物再生の分子機構
 作物形質転換のための形態形成因子
 まとめと今後の展望