[出典] "STREAMING-tag system reveals spatiotemporal relationships between transcriptional regulatory factors and transcriptional activity" Ohishi H [..] Kimura H, Ochiai H. Nat Commun 2022-12-20. https://doi.org/10.1038/s41467-022-35286-2 [著者所属] 広島大, 東工大, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, 九大;論文の共同責任著者の落合博准教授のツイート (Hiroshi Ochiai @Hiro_Ochiai_En)
転写はONとOFFをダイナミックに切り替えるが、その制御機構は完全には解明されていない。メディエーター複合体、BRD4、および非リン酸化RNAポリメラーゼII(RNAPII)は、ON状態の遺伝子領域周辺にクラスターを形成するとは、知られている。また、ON状態では、MS2システムを利用することで遺伝子座を可視化できるが、OFF状態での遺伝子座可視化は実現していない。連続的に転写されるON状態と,ほとんど転写が行われないOFF状態が確率的に切り替わる転写バースト [研究グループのWebサイト参照]の制御機構を理解するためには、ON状態だけでなく、OFF状態を視る必要がある。
研究チームは今回、遺伝子機能への影響を最小限に抑えながら、転写開始点(TSS)近傍の遺伝子転写活性と細胞内局在を定量できる「STREAMING-tag」システムを確立した [落合准教授のツイート引用参照]。
Hiroshi Ochiai@Hiro_Ochiai_En
Therefore, we established the &vquot;STREAMING-tag&vquot; system, which can quantify gene transcriptional activity and subcellu… https://t.co/unzx35wehG
2022/12/22 11:31:18
- STREAMING-tagは、転写開始点直下にMS2リピート、TetOリピート、選択マーカー付きスプリット型インティンを挿入し、個々の要素を最適化することで実現した"Spliced TetO REpeAt, MS2 repeat, and INtein sandwiched reporter Gene tag"である。
- STREAMING-tagをマウスES細胞のNanogに適用し、転写バースト時にNanogのTSSにRNAPIIの最大サブユニットであるRPB1とコアクチベーターのBRD4のクラスターが動的に結合していることを発見した。
- また、先行研究で開発されていたmintbodies [*] を利用して、RNAPIIの特異的リン酸化(転写開始複合体のSer5phと転写伸長複合体のSer2ph)の構成を可視化した。
その結果、NanogのTSS領域は、Ser2リン酸化型よりもSer5リン酸化型RNAPIIのクラスターと密接に関連することを発見した。これは、STREAMING-tagシステムによってNanogのTSS-近位領域を可視化できることを示唆している [Fig. 7引用右図参照]。 - RNAPIIやBRD4とは対照的に、メディエーター複合体のサブユニットであるMED19とMED22のクラスターは、転写活性がOFFの場合でもTSS近位に存在し、BRD4と低リン酸化RNAPIIを含む新しい転写開始クラスター形成の足場となる可能性が考えられた。
- STREAMING-tagシステムは、このように転写活性と遺伝子近傍のタンパク質クラスターとの時空間的な関係を明らかにし、を生細胞において転写制御の動態を定量的に理解するのに有用である。
[*]
mintbodies (modification- intracellular anti bodies):特定の抗体の一本鎖可変フラグメント(scFv)と蛍光タンパク質からなる遺伝子改変特異的細胞内抗体;"Genetically encoded system to track histone modification in vivo" Sato Y [..] Kimura H. Sci Rep 3, 2436 (2013). https://doi.org/10.1038/srep02436 ;ヒストン修飾の追跡を目的とするmintbodies

コメント