[出典] "Computational design of CRISPR guide RNAs to enable strain-specific control of microbial consortia" Rottinghaus AG, Vo S, Moon TS. PNAS 2022-12-27. https://doi.org/10.1073/pnas.2213154120 [著者所属] Washington U (WUSTL)
 微生物は自然界では多様な菌種の群集の中で共存している。このような群集から個々の微生物株を標的として、その組成を特異的に操作することは、依然として困難である。しかし、CRISPRシステムの特徴であるガイドRNAの配列特異性を利用すれば、微生物株を正確に区別し、これらの課題を達成するためのツールを容易に準備できるはずである。
 WUSTLの研究チームは今回、利用者が操作対象とする標的株、CRISPRシステムから保護すべき非標的株、および、希望するガイドRNAの特性 (PAM配列と向き, スペーサーの長さ) を入力として、株特異的なガイドRNA配列を設計・出力する計算プログラム"ssCRISPR"を開発した [ssCRISPRプログラムのフローチャート: Fig. 1 参照]
  • CRISPRヌクレアーゼはCas9とCpf1 (Cas12a)に対応している。
  • ssCRISPRで指定する菌株は、NCBIの微生物ゲノムレポジトリーに登録されている27,000以上の菌株から選択可能である。
  • 応用目的にあわせて特異性への要求レベルが異なることから、選択した株に対する特異性の基準を1〜4 ntの範囲で選択可能に設定した。
  • Escherichia coli Pseudomonas sppのそれぞれについて株特異性予測精度を実験的に検証した。その結果、完全な株特異性を確保するには、全ての非標的株のゲノムに対して、標的配列に少なくとも3 ntのミスマッチを必要とすることが明らかになった。
  • 続いて、微生物コンソーシアムからの特定の微生物の単離と除去という2種類の応用が可能なことを実証した。前者は、コンソーシアム内の単離する特定微生物を除く全ての微生物を標的として死滅させるようにガイドRNAを設計し、単一のプラスミドを介した形質転換で実現した [Fig. 4 参照]。後者は、コンソーシアム内の他の菌株は保護しながら、除去すべき菌株のみを標的とするようにガイドRNAを設計し、Cas9のリポソーム送達により実現した [Fig. 5 参照]。
  • ssCRISPRはPythonスクリプト (https://github.com/Austin-Rottinghaus/ssCRISPR/) またはアプリ (https://doi.org/10.17632/gpgyytwgb5.2)としてダウンロードしローカルで実行することが可能である。