[出典] "Discovery of synthetic lethal and tumor suppressor paralog pairs in the human genome" Parrish PCR, Thomas JD [..] Berger AH. Cell Rep 2021-08-31. https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.109597 [著者所属]  Fred Hutchinson Cancer Research Center, U Washington; News "Uncovering cancer growth genes that have each other’s back when the other is down" From the Berger Lab, Human Biology Division. 2022-07-18. https://www.fredhutch.org/en/news/spotlight/2022/07/hb-Parrish_CellReports.html論文グラフィカルアブストラクト 
 CRISPR-Casシステムを利用したスクリーニングによって、がんの脆弱性の発見が加速されている。しかし、単一遺伝子のノックアウト表現型は、関連遺伝子間の冗長性によって覆い隠されるリスクを伴っている。ヒトゲノムにおけるパラログはヒトのタンパク質をコードする遺伝子の3分の2を占めるため、既存の単一遺伝子ノックアウトに依存するスクリーニングでは、遺伝子機能の大部分をアッセイするには不十分である可能性が高い。
 研究チームは今回、2,000以上のヒトパラログを標的とするCRISPR-Cas9シングル・ノックアウト(KO)およびダブル・ノックアウト(DKO)・スクリーンを可能とするガイドRNA、paired-guide RNA (pgRNA)のライブラリー、パラログ遺伝子相互作用マッピング(paired guide RNAs for paralog GI* mapping(pgPEN)ライブラリー、を開発した [* GI: Genetic Interactions]。このpgPENライブラリーは、2,060種類の遺伝子で構成される1,030パラログペアを標的とする33,170種類のpgRNAsで構成されている。
  • pgPENを2種類の細胞(PC9細胞とHeLa細胞)に適用し、細胞株特異的な合成致死(synthetic lethal: SL)パラログペアと異なる細胞に共通するSLパラログペアが存在することを確認した。
  • ヒト・パラログの12%が少なくとも1つのコンテクストで合成致死を示すことを発見した。既知のSLパラログであるMEK1/MEK2、重要な創薬標的であるCDK4/CDK6CCNL1/CCNL2OXSR1/STK39 を含むSLパラログペアを発見した。
  • さらに、そのDKOによってがん細胞の増殖が亢進するパラログペア(がん抑制パラログペア)、10組を同定した。その中には、CDKN2A/CDKN2B FBXO25/FBXO32 が含まれていた。
 本研究は、CRISPR-Cas9 DKOスクリーンによる創薬標的の特定が可能なこと、ならびに、パラログの遺伝的相互作用によってがん細胞における正選択と負選択が選択されることを、示した。