[出典] REVIEW "CRISPR technology: A decade of genome editing is only the beinning" Wang JY, Doudna JA. Science. 2023-01-20. https://doi.org/10.1126/science.add8643; 本文8ページ/参考文献 200件
Science 誌のエディターはWangとDoudnaのレビューを次のように紹介している:ゲノム編集技術としてCRISPR-Cas9が発表されて以来10年、CRISPRツールボックスとその応用は、基礎および応用生物学研究に奥深い変化をもたらした。WangとDoudnaは今回、CRISPRをベースとするゲノム編集の起源と有用性、この技術が成し遂げたことと現時点での限界、そしてイノベーションとエンジニアリングが必要とされる課題について概説している。著者らは、CRISPRゲノム編集技術の開発における重要な進歩について述べ、この分野がどこに向かっていくところを予測している。また、将来のエキサイティングな可能性を見据えながら、医療や農業における具体的な事例を取り上げ、CRISPRがすでに社会にどのような影響を与えているかを示している。
著者らの「CRISPR: past, present, and future」と題するグラフィカルアブストラクトでは、これまでの十年と次の十年が左右に対比されており、前者には、遺伝子ノックアウト、鎌状赤血球症治療研究、ノックアウトマウス作出、CRISPR編集作物、スクリーニング、塩基エディティング、および多重編集といった項目列挙されており、後者には、CRISPR療法の後期臨床試験、FDAの鎌状赤血球療法承認、FDAのCRISPR細胞療法承認、多くの食品の栄養価向上、生体内デリバリー法の進歩、動植物の多遺伝子形質の改変、CRISPR編集作物の拡大、高耐病性と大収量の作物といった項目が列挙されている。
[図と囲み記事の一覧]
- 図1. 適応免疫応答を担うCRISPRシステムとRNAガイドを介してプログラム可能なゲノム編集ツール
- 図2. ゲノム編集ツールボックス (その1):何がうまく機能するか(遺伝子ノックアウト、マウスをはじめとするモデル動物作出の迅速化、スクリーニング、植物における多重編集、塩基エディティングによる部位特異的塩基改変)
- 図3. ゲノム編集ツールボックス (その2):課題と最新ツール(オフターゲット、望ましくない編集結果、遺伝子配列の標的部位への挿入、デリバリー)
- 図4. 将来の方向性:10年間に成し遂げらること(ゲノムエディターの進歩、シーケンシングの高速化と低コスト化、生細胞可視化、および機械学習を介した応用研究の拡充)
- 囲み記事:CRISPR療法のコスト、規制、アクセス (利用可能性)
コメント