- CRISPR/Cas9遺伝子編集システムの循環器研究への展開
[出典] "Gene Modulation with CRISPR-based Tools in Human iPSC-Cardiomyocytes" Han JL, Entcheva E. Stem Cell Rev and Rep 2023-01-19. https://doi.org/10.1007/s12015-023-10506-4 [著者所属] George Washington University;本文14ページ/ 参考文献 167件
遺伝子発現の正確な制御(ノックアウト、ノックイン、ノックダウンまたは過剰発現)は、遺伝子/タンパク質の生体システム機能への寄与を詳らかにするアプローチである機能ゲノミクスの核心である。
患者特異的なヒトin vitroシステム、iPS細胞の開発、および、関心のある様々な種類の細胞を得ることができるようになったことが、ヒトの疾患モデリングと治療法開発を加速している。これらの細胞や誘導体における遺伝子調節に向けて、薬理学的手段、DNAベースのRNA干渉と標準的なRNA干渉(shRNA/siRNA)などのスケーラブルなツールが展開されてきた。
近年急展開しているCRISPR/Cas9遺伝子編集システムは、バクテリアから借りた(borrowed from bacteria)もので、10年前に哺乳類細胞への適用が始まり、細胞特異的な遺伝子ターゲティングなど機能的多様性を提供してきた。
CRISPR/Cas9システムは、ゲノムの編集に加えて、触媒的に「死んだ(dead)」Cas9酵素(dCas9)を遺伝子転写のエフェクターに連結し、ガイドRNAと組み合わせて用いることで、より繊細で時間分解的な遺伝子調節も可能にした。このCRISPRi / CRISPRa(interference/activation)システムは、gRNAのライブラリーを用いて機能的ゲノム解析を行うための拡張性の高い技術として発展してきた。ここでは、これらのアプローチの主要な開発および心臓血管研究への展開について概説する。iPSC心筋細胞を用いた具体的な使用方法と、これらの技術をさらに応用する上での課題について議論する。
[構成]
図 1 遺伝子改変のアプローチ [右図参照]
遺伝子改変の古典的手法
低分子化合物による転写制御
RNA干渉
アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたDNAベースのRNA干渉法
CRISPR技術の進化
プライムエディティングを含むCRISPR-Cas9による遺伝子編集
表1 CRISPR/Cas9を用いたin vivo遺伝子編集-心臓への応用例を選択
ヒトiPSCにおけるCRISPR/Cas9を用いた遺伝子編集
エピジェネティック制御のためのCRISPR
DNA塩基編集による遺伝子モジュレーション
dCas13によるRNA塩基編集
CRISPRi/CRISPRa
図 2 CRISPRa と CRISPRi の進歩の年表. [右図参照]
心臓への応用におけるCRISPRi/CRISPRaの利用について
iPSC-CMにおけるCRISPRi/aスクリーニングと機能ゲノミクス
まとめ
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