- 腫瘍組織内の酸化ストレス増強とアポトーシスの誘発
[注] PDT:PhotoDynamic Therapy
[出典] "Tumor-specific activated nano-domino-CRISPR to amplify intrinsic oxidative and activate endogenous apoptosis for spatiotemporally specific therapy" Wang L, Liu C [..] Wu Q, Gong C. Biomaterials 2023-02-14. https://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2023.122056 [著者所属] State Key Laboratory of Biotherapy and Cancer Center (U Chengdu), Shengjing Hospital of China Medical U.
PDTは、非侵襲的で時空間選択性の高い治療法として、がん治療における候補の一つとして注目されている。しかし、B細胞リンパ腫/白血病-2(Bcl-2)に代表される内在性の抗酸化ストレス因子や光路に沿ったPDT活性の減衰が依然として大きな課題である。
中国の研究チームは今回、腫瘍特異的に活性化するナノ・ドミノ・CRISPR(Tumor-specific Activated Nano-domino-CRISPR:TAN)を作製し、光増感剤のクロリンe6(Ce6)と、Bcl-2遺伝子を標的とするCRISPR/Cas9プラスミドを結合させることで、内因性酸化的アポトーシスを増幅することで、PDTによる時間特異的治療を強化した。
TANの最初のドミノは不活性なTANであり、酵素が豊富な細胞内環境でシェルが剥がれて、活性化される。活性化されたTANは、ライソゾームからの脱出、細胞への遺伝子導入、Bcl-2タンパク質の精密な破壊、Ce6を含むシェルと光によるPDT効果などのドミノを順次「倒して」さらなるドミノ効果を誘発する。
表層部に位置する腫瘍細胞では、Bcl-2の発現低下により細胞内の還元型グルタチオン(GSH)量が減少し、PDTの酸化ストレスが増強される。一方、深部に位置する腫瘍細胞では、CRISPR-Cas9によるBcl-2の破壊により内因性アポトーシスが誘発される。
TANの高い抗腫瘍効果は、in vitroとin vivoの両方で実証され、PDTの治療上の課題を解決する新たなアプローチを提供する。
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