(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/05

  • Gilles TravéKatia Zanierら仏米の研究チームは今回、X線結晶構造解析によって、ヒトパピローマウイルス(HPV-16)のがんタンパク質E6、宿主細胞のユビキチンリガーゼE3A (E6AP)のLxxLLモチーフ、およびp53コア・ドメインの三者複合体の構造を分解能2.25 Åで決定し、E6とE6APの双方が存在する場でp53が分解される構造基盤を明らかにした.
  • 三者複合体において、E6APのLxxLLがE6表面にp53が結合する溝をもたらすことを見出した.また、E6とp53の界面に変異を導入すると、p53の分解が起こらなくなった.
  • 近年、LxxLLポケットを標的とするアポトーシス促進性のペプチドや低分子によってこのポケットがドラッガブルである証拠が示されて来ている.ヒトパピローマウイルスに誘導されるがんに対して、LxxLLポケットと今回同定した「溝」の双方を標的とする戦略が効果的と考えられる.