[出典] "Genome editing by introduction of Cas9/sgRNA into plant cells using temperature-controlled atmospheric pressure plasma" Yanagawa Y (柳川由紀) [..] Mitsuhara I (光原一朗). PLoS One 2023-02-16. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0281767 [著者所属] 千葉大, NARO (農業・食品 産業技術総合研究機構), 理研, 東工大, 横浜市大, 東洋大, 龍谷大
 著者らはこれまでに、Rice 1大気圧プラズマを利用して、sGFPタンパク質を植物の組織・細胞に直接導入する技術を開発してきた [Fig. 1引用右図参照]。今回、このタンパク質導入技術を利用したCRISPR/Cas9に植物ゲノム編集を試みた。
ゲノム編集の評価実験系として、レポーター遺伝子 L-(I-SceI)-UCsGFP-waxy-HPT を帯びたトランスジェニック・レポーター植物を利用した。L-(I-SceI)-UC系では、ゲノム編集後のルシフェラーゼ(LUC)遺伝子の再機能化で観測される化学発光シグナルを測定することで、ゲノム編集の成功を検出することができる。同様に、sGFP-waxy-HPT系では、ゲノム編集時にハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(HPT)に起因するハイグロマイシン耐性を付与する。
 上述のレポーター遺伝子を標的とするCRISPR/Cas9 RNPを、N2および/またはCO2プラズマで処理することで、イネのカルスまたはタバコの葉に直接導入した。Rice 2L-(I-SceI)-UCを導入したイネ・カルスを適切な培地プレート上で培養することで、発光シグナルが得られ、陰性コントロールでは発光は観察されなかった [Fig. 2 引用右図参照]。sGFP- waxy-HPT を導入したタバコ細胞は、ゲノム編集中にハイグロマイシン耐性を示した。Tobacco処理したタバコの葉を再生培地プレートで培養を繰り返したところ、ハイグロマイシン耐性を示す緑色のカルスが得られ [Fig. 5引用左図参照]、タバコ・レポーター遺伝子のゲノム編集配列を確認することができた。
 プラズマを用いたCas9/sgRNA 複合体RNPの直接導入により、外来DNAの導入なしに植物のゲノム編集が可能となることから、本手法は多くの植物種に最適化され、今後、植物育種に広く応用される可能性がある。

 [参考記事]