[注] B型肝炎ウイルス(HBV);共有結合型環状DNA(cccDNA)
[出典] "Illuminating the Live-Cell Dynamics of Hepatitis B Virus Covalently Closed Circular DNA Using the CRISPR-Tag System" Ding J [..] Yuan Z. mBio. 2023-02-22. https://doi.org/10.1128/mbio.03550-22 [著者所属] Fudan U, U Canberra,  Zhejiang U School of Medicine.
 HBVの共有結合閉環DNA(cccDNA)が、B型慢性肝炎の治癒に対する大きな障害になっている。現在のcccDNAの検出方法は、生化学的抽出とバルク測定に基づくものがほとんどであり、cccDNAの生細胞内での時空間的な動態についての理解はまだ不十分である。著者らは、我々はCRISPR-Tagと組み換えHBVミニサークル技術を組み合わせて、cccDNAを単一細胞レベルでリアルタイムに可視化するシステムを構築した。
 HBV cccDNAの形成と維持の解明は、常にHBVの病理学的研究の中心的課題であった。しかし、ロバストなアッセイ系がないことや、遺伝子改変に対する抵抗性から、ほとんど進展していない。HBV cccDNAここでは、組換えcccDNAにCRISPR-Tagを移植し、その分子挙動をリアルタイムに可視化するライブセルイメージングシステムを確立した [FIG. 1引用右図参照]。
 その結果、rcccDNAのdCas9を用いたイメージングへのアクセス性が、HBxの制御するメカニズムと関連していることが明らかになった。また、1周期の細胞分裂で観察可能なrcccDNAが大幅に失われ、残った分子がランダムに分布していることを確認した。分子動力学解析により、rcccDNAエピソームの動きが制限されていることが明らかになり、染色体ドメインに並置されていることが示唆された。この新しいシステムは、生きた細胞内での cccDNA の明確なダイナミクスを調べるためのユニークなプラットフォームとなる。