[出典] “A molecular glue approach to control the half-life of CRISPR-based technologies” Sreekanth V [..] Choudhary A. bioRxiv 2023-03-12 [preprint] https://doi.org/10.1101/2023.03.12.531757 [著者所属] Broad Institute of MIT and Harvard, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School, Dana-Farber Cancer Institute, Harvard U, UCSF, Chan-Zuckerberg Biohub, Massachusetts General Hospital, Hubrecht Institute for Developmental Biology and Stem Cell Research, HHMI.
 Cas9はプログラム可能なヌクレアーゼであるとともに、塩基編集 (BEとPE)や転写調節(CRISPRi/aなど)などの革新的な技術のベースとなっている。しかし、治療薬を含むこれらの技術のいくつかの応用では、その半減期の精密制御が必須であった。例えば、それによって
、臨床試験において潜在的な免疫異常などの有害事象を回避するのに有用である。
 Cas9の半減期を制御する現在のゲノム編集技術は、速度が遅く、活性が低く、サイズの大きな応答因子(230アミノ酸以上)の融合を伴い、薬理学的特性に劣る高価なコントローラーを必要とするなどのことから、生体内での実装まで進んでいない。
 著者らは、ユビキチンリガーゼ複合体とCRISPRベースの応答因子に結合し、後者を速やかにユビキチン化・分解させる分子糊 (タンパク質分解誘導薬)ポマリドミドを用いた半減期制御の一般的なプラットフォームを開発した。ポマリドミドを利用することで、大型のCRISPRベース技術(BE、CRISPRiなど)ならびにそれらを阻害する小型の抗CRISPRの半減期の制御が可能になり、BEのオンスイッチの構築に初めて成功した。
 こうしてCRISPRをベースとするツールのスイッチオン、微調整、およびスイッチオフが可能になり、それらツールの活性、特異性、ゲノム編集の完全な制御が可能になった。重要なことは、応答因子の小型化とポマリドミドの良好な薬理特性により、AAVを送達手段として用いた生体内でのBEの活性制御が可能になったことである。

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