[注] 胃がん (Gastric Cancer: GC);患者由来オルガノイド (patient-derived organoids: PDOs);KDM1A (ヒストンリジンデメチラーゼ-1A)
[出典] "CRISPR/Cas9 Screen in Gastric Cancer Patient-Derived Organoids Reveals KDM1A-NDRG1 Axis as a Targetable Vulnerability" Mircetic J [..] Stange DE. Small Methods 2023-03-12. https://doi.org/10.1002/smtd.202201605  [著者所属] German Cancer Research Center, Technische Universität Dresden, National Center for Tumor Diseases (Germany)
 機能ゲノミクスにCRISPR生存性スクリーンが不可欠になってきたが、PDOへの適用は遅れていた。著者らか今回、原発腫瘍の特徴を忠実に再現したGC PDOにおいて、初のネガティブセレクションCRISPRスクリーニングを実施した。
 その結果、KDM1AがGCの脆弱性であることが明らかになった。KDM1Aの遺伝的および薬理学的阻害は、いずれもオルガノイドの成長遅延を引き起こした。さらに、KDM1Aの癌抑制機能の多くが、N-myc downstream regulates gene-1 (NDRG1)の抑制にあることが明らかになった。KDM1A阻害剤(KDM1Ai)によるNDRG1の抑制解除は、Wntシグナルの阻害と強いG1細胞周期停止を引き起こした。
 最後に、20種類のGC PDOのプロファイリングにより、NDRG1のアップレギュレーションがKDM1Aiの反応を感度100%と特異度82%で予測することが示された。
 本研究は、患者由来のオルガノイドにおけるネガティブセレクションCRISPRスクリーニングの使用を開拓し、KDM1Ai反応のマーカーを同定し、それに応じた患者の層別を可能にした。