[出典] REVIEW "The potential of gene editing for Huntington’s disease" Duan W, Urani E, Mattson MP. Trends Neurosci. 2023-03-10. https://doi.org/10.1016/j.tins.2023.02.005 [著者所属] Johns Hopkins University School of Medicine, Bilkent U (Turkey).
 ハンチンチン遺伝子の3塩基反復の拡大により、ハンチンチンタンパク質(HTT)のポリグルタミン反復が長く伸びることにより起こる顕性遺伝性の神経変性疾患ハンチントン病(HD)の進行を遅らせる治療法はまだ無い。近年、CRISPR-Cas9システムを用いた遺伝子編集技術が進歩し、様々な疾患の動物モデルで遺伝子変異を修正する能力が実証されたことから、遺伝子編集がHDの予防や改善に有効である可能性が指摘され、試行されている。本レビューでは、(i) 遺伝性疾患の原因となる変異遺伝子を修正するためのCRISPR-Casの設計と細胞送達方法 (アデノ随伴ウイルス、脂質ナノ粒子、ウイルス様粒子など)の可能性、(ii) HDに焦点を当てた動物モデルでこのような遺伝子編集アプローチの有効性を実証した最近の前臨床所見、について解説する。